つみたてNISA丸3年、対象ファンド140本中なんと139ファンドが含み益!
水瀬ケンイチ
金融庁の少額投資非課税制度「つみたてNISA」が2018年にはじまってから丸3年。当時の対象ファンド140本中、なんと139ファンドが含み益とのこと。
積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)が2018年1月に始まってから丸3年が経過した。米中対立による相場乱高下やコロナショックなどヒヤヒヤする局面が多い3年間だったが、そんななかでもコツコツ積み立て投資を続けていたらどれくらいの損益になっただろうか。対象ファンドの運用成績を調べてみた。対象にしたのは、2018年1月末時点につみたてNISA対象商品だ
この3年間、株式市場が上げ相場だったということでしょう。プラスになっている皆さま、おめでとうございます👏👏👏
逆に、唯一マイナスになった1本は何なのか気になるところですが、「東京海上・円資産インデックスバランスファンド<愛称:つみたて円奏会>」とのこと。目論見書で確認したところ、日本債券:日本株:J-REIT=70%:15%:15%の資産配分をベースに、ファンド全体の価格変動リスクを年率3%程度に維持することを目的として配分比率を変動させるアクティブファンドでした。
価格変動リスク(ボラティリティ)を維持するタイプの運用はどうしても相場の後追いになりがちですが、この3年間はそれが見事に裏目に出てしまったようですね。合掌。
さて、つみたてNISAにおいては、どのファンドを選んでいたとしても99%の確率でプラスになったということが上記記事に書いてあります。
上げ相場に感謝しつつ、私たちが気をつけなければならないことが2点あると思います。
ひとつは、99%の確率でプラスになったというのは、3年間ずっとその商品を保有し続けた場合の話です。コロナショックなどの下げ相場で売却してしまったとしたら、損失が確定し、おそらくプラスにはならなかったでしょう。「継続は力なり」です。
もうひとつは、つみたてNISAで今後どの商品を選ぶかは、自分のリスク許容度に合っているかどうかが重要であって、単にこの3年でいちばんリターンが高かった商品を選べばいいわけではないということ。
ちなみに、いちばんリターンが高かったのは、なんと日経平均連動のインデックスファンド「iFree 日経225インデックス」でした。米国株でも、全世界株でもなく、たまにはやるじゃん日経平均!
だからといって、今後は「iFree 日経225インデックス」に100%投資することが、正解というわけでは決してないと思います。私はつみたてNISAでは、世界中に分散投資された株式インデックスファンド(たとえば、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)など)が分散が効いていてよいと考えていますが、それでも、株式100%で運用するのがよいかどうかは人によると思います。
今後またコロナショックのような暴落や、もっと大きく長引く大暴落が来るかもしれません。この3年で上がったプラスと同じくらいのマイナスが来たとしても、理屈の上では全然おかしくありません。
プラスリターンの数字のプラスとマイナスを入れ替えてみて、マイナスだった場合に自分が耐えられるかどうか。リスク許容度の範囲内かどうかを確認してみるのもよいと思います。
運用金額を減らすか、運用資産に債券(特に国内債券)を組み込むと、保有資産全体のリスクが下がります。耳にタコができるかもしれませんが、何度でも書きます。
投資は自分のリスク許容度の範囲内で。
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