インデックス投資と両立する個別株投資
水瀬ケンイチ
山崎元氏がインデックス投資と両立する個別株投資についてトウシルでコラムを書かれています。インデックス投資をしながら、資金の一部で米国株を買っているようなかたに、ぜひ読んでもらいたいと思います。
個別株投資は「家庭菜園」。趣味と資産形成の両立を | トウシル 楽天証券の投資情報メディア
インデックスファンドへの投資など、他の投資手段との比較で、個人が個別株式の運用で資産形成を適切に行うことは、(1)簡単にはできないけれども、(2)趣味としてなかなかに面白いので、(3)是非その方法を伝えたい、と筆者は考えている。 ただ…
詳しくは上記コラムをお読みいただきたいのですが、要点を無理やりまとめると以下のとおり。
・個別株投資は「家庭菜園」、インデックスファンドの一括投資は「食品スーパー」、積立投資は「野菜の宅配」
・個別株投資とインデックス投資の大きな差はリスクとコスト
・「企業分析の幻想」と「トレーディングの勝負」を捨てる
・それでも「運用ゲーム」は面白い
なかでも、「企業を深く分析すると、他の投資家には分からない真の企業価値が分かる(のではないか)」という企業分析に対する幻想を捨てることと、「何らかのノウハウを工夫し勘を磨くと短期売買で儲けられるのではないか」というトレーディング勝負の可能性に対して距離を置くことが大事という身もふたもない指摘は、納得しづらい個別株投資家も多いのではないでしょうか。
しかし、インデックス運用の期待リターンは、個別株投資の期待リターンの平均ということになるので、個別株投資家の全員が勝ち組に回ることは原理的に不可能です。勝ち組に回ることは、プロの投資家にとっても簡単ではないという現実は厳しい。
実際に投資のプロが運用しているはずのアクティブファンドの7~8割はインデックスを下回っているという結果が毎年出ています。
アクティブ運用とパッシブ運用のパフォーマンス比較の貴重なデータ(2019年版)
本日の日経電子版に、アクティブ運用とパッシブ運用(インデックス)のパフォーマンス比較に関する貴重なデータが掲載されています。...
また、コラムの中で山崎氏は「ポートフォリオの「価値」として、個別株投資とインデックス運用では、リスクが大きく異なることの「差」を認識する必要がある」と言っています。インデックスのリスクを20%とすると、典型的な個別銘柄(大型株だがそこそこに人気の銘柄くらいのイメージ)1銘柄だと35%くらいのリスクがあると目安を述べています。別のコラムでは個別株1銘柄はインデックスの1.5倍~2倍のリスクがあると述べています。
インデックスファンド・ETFに混ぜる個別株は、リスク管理の「盲点」
トウシルに、ポートフォリオの簡易診断法についての動画が掲載されています。おなじみの山崎元氏の解説です。...
私は昔、個別株投資から投資の世界に足を踏み入れたので、当時は個別株投資本を読み漁ったわけですが、個別株投資家の教科書と言われている本(例えばバフェット本やピーター・リンチ本など)を読んでも、ポートフォリオ全体のリスクを数値(標準偏差)で把握するという段取りがほぼ見当たりません。おそらく、ほとんどの個別株投資家は定量的なリスク管理をやってないと思われます。そういえば、最近もそんな話をTwitterでしていたところです。
個別株投資家の教科書と言われている本(例えばバフェット本やピーター・リンチ本など)を読んでも、ポートフォリオ全体のリスクを標準偏差で把握するという段取りがほぼ見当たらない。ほとんどの個別株投資家は定量的なリスク管理をやってないと思われます。
— 水瀬ケンイチ(みなせけんいち) (@minasek) March 5, 2021
それらの厳しい現実をふまえた上で、インデックス投資に大きく劣らない範囲を守りながら、個別株式での運用に工夫を仕込む方法は数多くある、と書かれています。
「えっ、どんな方法!?」と思われた方は、上記コラムをご覧ください。そして、山崎氏はこのあたりの個別株投資の本を、チャンスがあれば一冊書いてみたいと書かれています。
待ちきれない方々に向けて、山崎マニアの私から助言すると、山崎氏は昔、個別株投資をすすめる本を書かれていました。古い本ですが、「お金をふやす本当の常識―シンプルで正しい30のルール」(2005年出版、日経ビジネス人文庫)が手元にあり、リスクの目安もふまえ、予想の変化とPERを使った個別株投資をすすめています。また、「新しい株式投資論―「合理的へそ曲がり」のすすめ」(2007年出版、PHP研究所)でも個別株投資の勘所が説明されています。
主張の基本は変わらないはず。古い本なので書店やAmazon等にはない場合は、図書館で取り寄せれば読めるのではないかと思います。
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