アクティブ運用とパッシブ運用のパフォーマンス比較のデータ…アクティブ運用は今年も散々な結果(2020年版)
水瀬ケンイチ
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス社が毎年発表している「SPIVA」というアクティブ運用とパッシブ運用(インデックス)のパフォーマンス比較データがあります。直近2020年の結果を見てみます。
SPIVAではグラフで1年、3年、5年の成績がインデックスに負けたアクティブ型投信の比率を国別に見せています。米国、カナダ、メキシコ、ブラジル、チリ、欧州、南アフリカ、インド、日本、オーストラリアの10カ国です。

5年間の成績がインデックスに負けたアクティブファンドの比率
国名 | インデックスに負けた比率 |
米国 | 75.27% |
カナダ | 97.14% |
メキシコ | 79.55% |
ブラジル | 80.37% |
チリ | 93.02% |
欧州 | 72.56% |
南アフリカ | 54.12% |
インド | 80.43% |
日本 | 67.28% |
オーストラリア | 81.70% |
(SPIVA® STATISTICS & REPORTS 2020 より梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー作成)
ご覧のとおり、今年もアクティブファンドは6割~9割がインデックスに負けています。プロの運用としてはお粗末な結果と言わざるを得ません。
よく運用会社のファンドマネージャー等が「インデックスを上回るアクティブファンドもあるのだから投資家はそれを選ぶ努力を云々」とか「インデックスに資金が集まることで市場の機能が失われて云々」などと強弁するのを見聞きしますが、なぜ個人投資家がわざわざ「干し草の山から針を探す」ようなまねをしなくてはならないのか、理解に苦しみます。
インデックスファンドを買う。たったそれだけのことで、世の中の6割~9割のダメ商品を避けることができる。
そして銘柄選定の悩みからは永遠に開放されます。これは、投資が趣味でも仕事でもない個人にとって、価値あるアドバイスだと思います。
たとえば、プロの建築士や弁護士が7割とか8割の確率でヘマを打つというのは、ビジネス一般ではありえない異常事態でしょう。インデックスを下回り続けるアクティブファンドマネージャーたちは、そんなヘマを打ち続けていることを、まず真摯に受け止める必要があると思います。
インデックスファンドやそれに投資する個人投資家を目の敵にして文句を言う前に、己の運用の腕を上げる、己のファンドの高い運用コストを引き下げる(その分パフォーマンスは上がる)など己に対して対策を打つべきです。結果に不調や不備があれば、実効性のある改善措置を講じるのがビジネス一般の常識ではないでしょうか。
SPIVAは閲覧無料で、毎年更新されています。アクティブファンドの運用成績の全体像にご興味がある方は、今後もチェックしてみるとおもしろいかもしれません。
たとえば、チリのアクティブファンドの勝率の極端な悪さは毎年恒例で、過去には負けた比率が「100%」だったこともありました(該当記事)。どうしてそうなるのだろう? 負けた比率が比較的低い国とは何が違うのだろう? では日本は? などと思考をめぐらせてみるとおもしろいです。
まとめ。直近2020年の調査でも、アクティブファンドの6~9割はインデックスに負けたというデータでした。
<趣旨から外れるけど言っておきたい追記>
今後またリーマン・ショック級の暴落が来れば、インデックスファンドもアクティブファンドも「仲良く暴落」します。どんな投資も自分のリスク許容度の範囲内で。←超・重要!
こんな記事も読まれています。
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数年前、あるマネー誌の取材に応じた時のこと。記者さんの質問に私が答える形で、取材は進行しました。ところが、インデックス投資の良さを語る私に、記者さんは明らかに不満そうな顔をされていました。どうやらアクティブ派の記者さんのようです。...
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