ニッセイ基礎研がTAA型バランスファンドについてダメ出し。うん、知ってた!
水瀬ケンイチ
組入比率を機動的に変更するTAA(タクティカル・アセット・アロケーション)型のバランスファンドは、コロナ・ショックでも鳴かず飛ばずだったようです。
バランス型ファンドは2020年2-3月のコロナ・ショックで、分散投資の効果があまり効かず下落した。ただ、ショック後は一転して反発し、多くのファンドが足元では基準価額がショック前の元の水準まで戻っている。バランス型フ...
詳しくは上記ニッセイ基礎研のレポートをご覧いただきたいのですが、無理やりざっくりまとめると以下のとおり。
- 2020年2~3月のコロナ・ショックでバランスファンドは下落したものの、その後は一転して反発しショック前の元の水準まで戻っている
- 組入比率を機動的に変更するTAA型バランスファンドは必ずしも高パフォーマンスをあげているわけではなかった
TAA型バランスファンドは一部に熱烈な支持者がいて、上げ相場では株式比率を上げてパフォーマンスを高め、下げ相場では債券や現金比率を上げて損失を回避することを目指すという説明を信じているようです。TAAという戦略自体は私が投資を始めた20年近く前からあったように思います。○○ショックが起こるたびに、ひととき注目される戦略というイメージがあります。
しかし、その後パフォーマンスにおいて目立って躍進したというファンドを聞いたことがありません。たいていのTAA型バランスファンドは、相場が上げてから株式を買い、相場が下げてから株式を売るという「相場の後追い」になってしまい、投資家の失望を買うことが多いように感じます。
2008年のリーマンショックの後も、損失を被った投資家が、「今までの分散投資やポートフォリオ理論は死んだ!」とブログで大騒ぎして、結果的に「これからはTAAしかない!」と息巻いていたのを思い出します。その後、彼がどうなったは寡聞にして知りません。
相場が下がる前に売り、上がる前に買う。それができたら素晴らしいです。TAA型バランスファンドの運用方針の狙いはそれに一見近く、魅力的に見えます。しかし、一貫してそんなに都合よく運用できるTAA型バランスファンドなどこの世にない。そう言ったら言い過ぎと怒られるかもしれません。でも、過去にTAA型バランスファンドがパフォーマンス上位にほとんど出てこないところを見ると、当たらずとも遠からずといったところでしょう。
でも、ちゃんと振り返ることは大事だと思います。上げ相場でも下げ相場でも資産配分についてはいじらず、自分のリスク許容度の範囲内でバイ&ホールドし、年1回程度リバランスするのがシンプルでよいと私は考えて、そのとおり実践しています。今のところ運用成績は計画どおりで悪くありません。
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