他人の幸せの為に行動すると幸せになれるという調査結果が世界中に!

水瀬ケンイチ

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ニッセイ基礎研究所に、幸福に関する興味深い調査結果が出ていました。

他人の幸せの為に行動すると、幸せになれるのか?―利他的行動の幸福度への影響の実験による検証―

他人の幸せの為に行動すると、幸せになれるのだろうか。世界各国で、寄付のように他人に利益を与える行動をする人は、幸福度が高い傾向があることが示されている(Aknin et al, 2013)。しかし、こうした利他的行動をす...


詳しくは上記レポートをご覧いただきたいのですが、無理やりまとめると、他人の幸せの為に行動すると幸せになれるという調査結果が世界各国で示されていて、しかも、経済的に豊かと考えられる国でも貧しいと考えられる国でも、さらには、大人でも小さな子どもでも同じ傾向であるという内容です。

これって、すごいことです。幸せに生きるための大きなヒントだと思います。

■北米の場合(Dunn 2008)
(1) 実験が行われる日の朝、参加者は自分の幸福度を評価する。
(2) 参加者はランダムに2つのグループに分けられ、1つのグループの人は5ドルか20ドルを渡され、当日の午後5時までに自分のためにそのお金を使うように伝えられる。 1つのグループの人にも、5ドルか20ドルを渡され、今度は当日の午後5時までに、他の人へのプレゼントか寄付に使うように伝えられる。
(3) 午後5時以降に参加者はもう一度集められ、自分の幸福度を評価する。

→自分のためにお金を使った人よりも、他人のためにお金を使った人の方が、平均的に幸福度が高まった

■カナダと南アフリカの場合(Aknin 2013)
参加者はランダムに2つのグループに分けられ、1つのグループには、自分自身のために少しお得なお菓子等の入った袋を購入する機会が与えられ、もう1つのグループには、地元の病院にいる病気の子どもたちのために同様の袋を購入する機会が与えられた。

→カナダでも南アフリカでも同様に、病気の子どもたちのためにお菓子等が入った袋を購入したグループの方が、自分のために購入したグループよりも、幸福な気分になったことが確認された

■幼児の場合(Aknin 2012)
平均2歳に満たない幼児がお菓子をもらった際と、あやつり人形にそのお菓子を分けてあげるように促されて、分けてあげた際を比較

→あやつり人形にお菓子を分けてあげた際の方が、幸せな表情を見せる
→さらに、幼児は追加でお菓子をもらってあやつうり人形に分けてあげた際よりも、もともともらっていた自分のお菓子をあげた際の方が幸せな表情を見せる

■日本の場合(ニッセイ基礎研究所の本レポート)
(1) 介入を行う前の全員の幸福度の値を測定
(2) ボーナスポイント(100円相当)が当たるかもしれないくじ引きを行う旨を説明した上で、参加者をランダムに「当選」「その他(寄付)」「落選」の3つのグループに振り分け、それぞれ以下のように表示した(ランダムな振り分けの結果、1,658名の参加者中、534名が「当選」、560名が「その他(寄付)」、564名が「落選」に割り当てられた)。

【当選】
調査にご協力頂き、誠にありがとうございます。あなたが当選したボーナスポイント(100円相当)は、あなたのポイント口座に、後日付与させて頂きます。
【その他】
調査にご協力頂き、誠にありがとうございます。あなたのご協力に対するボーナスポイント(100円相当)は、あなたが選択いただいた機関に弊社から責任を持って寄付をさせて頂きます。寄付先を1つ選択してください。
(日本赤十字社、日本ユニセフ協会、パラリンピックスポーツ日本代表の活動、令和元年台風19号の被災自治体から選択)
【落選】
調査にご協力頂き、誠にありがとうございます。あなたはボーナスポイント(100円相当)に落選しました。

(3) くじの結果が分かった後の幸福度を把握するため、再度、1ステップ目と同じ11段階の幸福度の質問に回答

→「当選」のグループと「寄付」のグループに比べて、「落選」のグループの幸福度が低い傾向があることが分かる。また、「当選」のグループと寄付のグループを比べると、「寄付」のグループの方が少しだけ幸福度が高い傾向
→100円を自分がもらうことによって上がる幸福度よりも、その100円を誰かにあげることによって得られる幸福度の方が大きい

誰かのために何かをすることは気持ちが良いものです。自分の経験に照らしても、なんとなくわかる気がします。たとえば、家族に誕生日のプレゼントをすると、同じ商品を自分のために買う以上の満足感があります。料理を作って自分で食べるよりも、料理を作って誰かに食べてもらう方が満足感があります。

このブログだって誰かのためになればと思って始めましたし(今は多少の収益もありますが)、だからこそ15年続いている面が大きいです。書いたブログ記事や著書が役に立ったと感謝されるのは、投資で100万円くらい儲かるよりもうれしいと感じます。手作りイベント「インデックス投資ナイト」運営のボランティア活動も、誰かが楽しんでくれればうれしいと思って10年続けています。

人は「ありがとう」と言われたい生き物なのだと思います。子どもから大人になり、しょぼくれたおっさんとなった今はなおさら、できれば「ありがとう」と言われるようなことをしたいと思って活動をしています。

「お金は感謝の印」という考え方もあり、仕事で給料をもらったり、投資で利益を出すこともある意味広い意味で「ありがとう」と受け取っているとも言えますが、やや間接的です。やはり直接「ありがとう」と言われる方が数段うれしいものです。

FIRE(Financial Independence, Retire Early)という言葉が流行していますが、FIREを実現したあとも幸せに暮らすために、自分がどのような状態にあると幸せを感じるのかを、よく知っておくことが重要になると思って準備しています。お金があれば幸せというほど単純なものではないらしい。

皆が自分のことしか考えないで行動する世界よりも、皆が(たまにであっても)他人の幸せの為に行動できる世の中の方がきっと素晴らしいはず。そのためには、まずは自分から他人の幸せの為になることはできないか探るべし。きれいごとかもしれませんが、上記レポートを読んで、そんな思いを新たにしました。

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Posted by水瀬ケンイチ