【新興国株式】低コストインデックスファンド徹底比較(21年3月末) 超低コスト「雪だるま新興国株式」の異常値が続く

水瀬ケンイチ

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「低コストインデックスファンド徹底比較」シリーズ記事として、新興国株式クラスの主要なインデックスファンドについて、2021年3月末で比較しました。世の中の流れに対応して、今回から、信託報酬と実質コストは総額表示(税込)に、実質コストは独自計算から直近の運用報告書ベースに変更しています。

※当シリーズ記事の説明書きとして、まずは『新シリーズ!「低コストインデックスファンド徹底比較」開始。まずは説明書き』をぜひご覧ください。

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新興国株式クラスの対象インデックスは、「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」もしくは「FTSE エマージング・インデックス」です。中国、台湾、インド、ブラジルなどの新興国の株式に分散投資するインデックスです。直近1年リターンが軒並み+60%以上で、非常に珍しい水準の高リターンとなっています。

そのなかでも、「SBI・新興国株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま新興国株式)」(運用会社:SBIアセットマネジメント)が、信託報酬 年0.1760%、実質コスト 年0.19%、インデックスとの差異±0%で、本来なら良い評価になるはずなのですが、1年リターンが2位のファンドと比べて5%以上低く、前回(2020年12月末)から異常値レベルが続いています。

月次レポートなどを見ても特に運用に失敗したという情報はみつかりませんでした。ベンチマークが「FTSE エマージング・インデックス」連動のファンド(雪だるま、楽天など)と、「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」連動ファンド(eMAXIS Slim、ニッセイ、iシェアーズなど)の違いはあるものの、全ファンドで最低というのはいかがなものか。ということで、今回は評価を一段下げて2位のファンドと同列の評価としました。

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繰り上げで、「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」(運用会社:三菱UFJ国際投信)が、信託報酬、インデックスとの差異が雪だるまに肉薄しつつ、1年リターンが +64.20% でクラス最高となっており、総合的に雪だるまと同列の高評価となりました。

ちなみに、eMAXIS Slim シリーズは、業界最低水準の運用コストを将来にわたって目指し続けると運用会社が表明しており、雪だるま新興国株式の運用コスト値下げに対抗して、2020年9月に信託報酬を追随値下げしています。

2020/09/02 「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」信託報酬引き下げ! - 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)

しかし、厳密には、ライバル他社のファンドの「税抜」信託報酬に追随する方針のようで、「税込」信託報酬で最安の雪だるま新興国株式を追い越せてはいません。

消費税がかからない海外ETFが投資先のライバル他社のファンドには追随しない(できない)という方針は、もしかしたら、eMAXISシリーズ唯一(?)の弱点かもしれません。

要注意ファンドとしては、「たわらノーロード 新興国株式」「Smart-i 新興国株式インデックス」が、配当含むインデックス連動にもかかわらず、インデックスとの差異がマイナスが2.9%と大きく出ており(他の配当含むインデックス連動ファンドは皆プラス)、他に選択肢がいくらでもある中であえて選択する意味はない状況となっています。お気をつけを。

いろいろありますが結論。

新興国株式クラスの主要なインデックスファンドについて、2021年3月末で比較した結果、「SBI・新興国株式インデックス・ファンド」「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」が相対的に高評価です。


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本ブログ記事は、私が執筆・監修した書籍のおすすめインデックスファンド情報のアップデート版という意味もあります。今後も定期的に継続していく所存です。


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