eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)シリーズが純資産総額1兆円を突破。各社の厚生担当は問い合わせくらいしてみてはいかが?

水瀬ケンイチ

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三菱UFJ国際投信は、eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)シリーズが純資産総額1兆円を突破したと発表しました。

三菱UFJ国際投信WEBサイト プレスリリース
2021/04/13 『eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)』シリーズ 合計純資産総額1兆円を突破

個人投資家にとってとてもめでたい出来事です。個人投資家の資産形成に活用できるマトモなインデックスファンドを超・低コストで提供してくれる三菱UFJ国際投信さんに拍手を贈りたいと思います。

同じ指数(インデックス)に連動することを目的としているインデックスファンドでも、運用コストについては商品によって大きな差があります。eMAXIS Slimシリーズは、年間の手数料である信託報酬が、年 0.1%からラインナップされており、超・低コストなインデックスファンドとなっています。運用状況も、「安かろう悪かろう」ではなく、ベンチマークの指数に正確に連動していることを、当ブログでも定期的に確認しています。


今から20年前は、低コストなインデックスファンドで国際分散投資をしようとしても、日本株インデックスファンドはこの証券会社、先進国株式インデックスファンドはこの証券会社、新興国株式インデックスファンドはまだ存在せず、国内債券インデックスファンドはこのネット銀行といった具合に、あちこちの金融機関に口座を開く必要がありました。

しかも、ようやく口座開設したと思ったら、金融機関都合で、インデックスファンドが繰上償還されたり、その金融機関で取り扱い廃止になったりして、マトモに国際分散投資を継続できない事態が続いていました。

ターニングポイントは、2014年まで待つことになります。2014年の「NISA」(少額投資非課税制度)と2018年の「つみたてNISA」(積立型の少額投資非課税制度)の開始です。

金融庁の肝いりで開始された非課税制度に呼応するように、ニッセイアセットマネジメントが「購入・換金手数料なし」シリーズの運用コストを大幅引き下げ、三井住友アセットマネジメントがDC専用だった「三井住友DCシリーズ」を一般販売開始、三菱UFJ投信が超・低コストな「eMAXIS Slimシリーズ」を新規設定するなど、運用コストの低下が一気に進みました。また、「iFree」「たわらノーロード」など、新たな低コストインデックスファンドシリーズが登場してきました。日経新聞では、2015年は「投信コスト革命」と名付けていました。

たいていのネット証券では、これらのインデックスファンドを取り揃えており、あちこちの金融機関に口座を開く必要はなくなりました。eMAXIS Slimシリーズは、「業界最低水準の運用コストを、将来にわたってめざし続ける」というコンセプトを堅持して、インデックスファンドの熾烈な値下げ競争を繰り広げ、今や上記プレスリリースのとおり純資産総額1兆円を突破する規模にまで成長しました。一般個人投資家に支持されてきたのだと思います。

一般個人投資家向けにこれだけの超・低コストなインデックスファンドが提供されているにもかかわらず、いまだに高コストなインデックスファンドをモタモタ提供しているのが企業型確定拠出年金です。

各社でラインナップは違うのですが、提供本数に限りがある提供投信に、信託報酬が高いインデックスファンドをラインナップし続ける会社が多いです。というよりも、当初は企業型確定拠出年金の方が低コストなインデックスファンドがあったのですが、一般個人向けインデックスファンドの値下げ競争が、それを追い越してしまったというのが正確だと思います。

しかし、社員向けの企業型確定拠出年金の運用商品としてeMAXIS Slimよりも高コストなインデックスファンドをラインナップしている運用管理機関、それをよしとしている各社の各社の厚生担当の人たち、それを黙認している労働組合の人たちは、反省すべき時が来ていると私は思います。

会社が社員に対して、企業型確定拠出年金に高コストな運用商品しか提供しないのは、社員の給料の一部を運用管理機関(多くの場合、会社のメインバンクや系列の運用会社)にホイホイ差し出していると言っても過言ではありません。

もはや「知らなかった」では済まない規模のメジャーな超・低コスト インデックスファンドシリーズがある。各社の厚生担当は、本当に社員の福利厚生を考えているのであれば、三菱UFJ国際投信に「eMAXIS Slimシリーズについて教えてくれませんか?」と問い合わせくらいしてみてはいかがでしょうか。


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