毎日投稿することがあるかどうかは「インデックス投資かアクティブ投資か」ではなく「情報感度が高いか低いか」による
水瀬ケンイチ
ブログやSNSで「インデックス投資は投稿することがない」という話をよく見ます。ちょっと待ってほしい。
たしかに、インデックス投資はタイミングを見図らず毎月定時定額のインデックスファンドを積み立てるだけの場合が多く、値動きや売買について書くことはあまりないかもしれません。
しかし、逆に、個別株のアクティブ運用をしている人が、毎日「今日は2%上がった」「今日は3%下がった」「○○株を買った」「△△株を売った」みたいな値動きや売買の投稿ができたとして、個人のそんな発信を他人が見ていったいどこがおもしろいのだろうか。
単に保有資産の値動きや売買を投稿すれば、価値ある投資情報の発信になると思っているならそれは大間違いだ。2000年代前半のブログ黎明期はそのようなデイトレーダーのトレード記録のブログばかりでした。しかし、2021年現在、その99%は消滅して存在しません。なぜなら、他人が見ても役に立たないしおもしろくなかったからです。
日々の値動きなら、すべての個別株やインデックスの騰落情報が証券会社のWEBサイトにいくらでもあるし、銘柄の組み合わせ(ポートフォリオ)もヤフーファイナンスなどでいくつも自由に作って日々の騰落を確認できます。それらを見れば十分だということに、読者はすぐに気づいてしまったのです。
個人投資家のSNSやブログの読者が読んで、役に立ったりおもしろいと思ったりするのは、値動きや売買そのものではなく、それをどう感じて、今後どのように活かし、どのような投資判断につなげるのかといった個人の「思考プロセス」なのだと私は思います。
私はインデックス投資とアクティブ投資の両方の経験があるのでわかるのですが、投資家の思考プロセスに関する気付きや変化の頻度はインデックス投資とアクティブ投資でそれほど変わりません。インデックス投資では投稿することがないと思っている人は、たとえアクティブ投資に転向したとしてもおもしろい投稿はそれほどできないと思います。
私はインデックス投資をはじめてからもうすぐ20年、投資ブログをはじめてからもうすぐ16年になりますが、保有資産の値動きはほとんど書かないにもかかわらず、投資について毎日のように書きたいことがあります。おもしろいか、役に立つかは読者の方々が決めることですが、少なくとも書くことがないということはありません。投資はいつでも驚きに満ちていて、学んでも学んでもわからないことだらけ、未来は常に闇の中です。
毎日投稿することがあるかどうかは、「インデックス投資かアクティブ投資か」ではなく、日々の暮らしの中で自分や他人がおもしろいと思うことを見つけられるかどうか、言い換えれば「情報感度が高いか低いか」によるのだと思います。
おもしろきこともなき世をおもしろく、すみなすものは心なりけり
(高杉晋作)
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