トウシルの「投資判断で重要な7原則」が圧倒的に強力
水瀬ケンイチ
トウシルに投資の王道を説く山崎元氏のコラムが掲載されています。
初心者投資家が「やってはいけない投資!」を理解するための7原則 | トウシル 楽天証券の投資情報メディア
今回は、トウシルの「超・少額投資のススメ」特集に向けて、正しい投資行動の判断原則について書く。 さて、読者が真に「初心者」であるなら、それは幸いなことだ。なぜなら、誤った先入観をまだ持っていないからだ。やるべきことは、素直な心で基本原則…
詳しくは上記のコラムをご覧いただきたいのですが、コラムで詳しく解説されている「投資判断で重要な7原則」は以下のとおり。
- 損得計算に基づいて「自分で」決める。相手がプロでも「任せる」のは絶対にダメだ。
- 同類の投資対象にあっては実質的な手数料がより高いものを避ける。実質的な手数料が「分からない場合」のものも無条件に避ける。
- 自分に商品を売ることで利益を得る可能性がある相手のアドバイスを聞かない。
- 銘柄選択・投資のタイミングに関して、平均的他人に勝る判断力は自分にもプロにも無いことを前提として物事を考える。
- 「投資」と「投機」とを区別する。資産形成に有利なのは投資の方だ。
- 税制上有利な「お金の置き場所」を有効に利用する。
- 投資の3原則(長期投資・分散投資・低コスト)から判断する。
私の投資戦略は「ウォール街のランダム・ウォーカー
ですから、山崎氏の投資に対する意見にはいつも概ね賛成、9割以上賛成しかありません。ただ、自分の拙い投資経験や投資研究の結果、1割くらいは「それは違うのではないか」という意見もあります。(逆に、自分の考えが100%他人の考えの完全コピーだったら気持ち悪いでしょ?)
しかしながら、上記コラムの「投資判断で重要な7原則」には100%賛成です。ひとつも反論の余地がありません。
1の『損得計算に基づいて「自分で」決める。相手がプロでも「任せる」のは絶対にダメだ』については、コラムでは「うまそうな話」やファンドラップについてダメ出しをしています。楽ラップを含む「ロボアド」もこれに類するものだと思います。
また、コラムでは言及されてませんが、世界中の調査で明らかになっている「資産配分が運用資産の時系列変動に与える影響力は8~9割」と大き過ぎることに加えて、リスク許容度は環境や本人の性格によって異なることから、この部分すら他人に任せるようでは投資のスタートラインにも立てていないことになるのでよくないのだとと思います。
2の『同類の投資対象にあっては実質的な手数料がより高いものを避ける』については、コラムでは「日本株の投資信託」の損得について解説されています。「無条件のマイナスリターン」である手数料がより大きな商品が、手数料の小さな商品に勝る確率は小さいと喝破されています。
まったくそのとおりだと思います。同じ資産クラスのアクティブファンドとインデックスファンドであれば、手数料が低いインデックスファンドの方がよい可能性が高いし、同じ資産クラスのインデックスファンド同士であれば、手数料が低いインデックスファンドの方がよい可能性が高い。当ブログで5年以上ウォッチし続けている「インデックスファンド徹底比較」シリーズ記事でも、同様の傾向が出ています。
3の『自分に商品を売ることで利益を得る可能性がある相手のアドバイスを聞かない』については、コラムでは銀行・証券会社・生命保険会社の窓口に相談するのはやめたほうがよいという助言です。たとえFPに相談する場合でも、生命保険などの商品販売に一切関わっていない人を選び、相談料をきちんと払う方がいいと言っています。
私も窓口で相談するのは本当にやめたほうがよいと思います。かつて、市場調査として窓口や電話受付で相談をしたことがありますが、私にとって魅力がない金融機関のイチオシ商品・銘柄をゴリ押しされるだけで、ブログのネタにこそなれ、私の人生においては時間の浪費でしかありませんでした。
私のようなしがない投信ブロガーは本業は別にあって、情報発信も趣味でやっているようなものです。金融機関の人間ではないので、自分がよいと思うインデックスファンドを調べて他人にすすめたところでなんの得もないため、なんのしがらみもありません。私を信用するかどうかは読者の方々によるのでなんとも言えませんし、個々人への助言や相談は受け付けてはいませんのであしからず。
4の『銘柄選択・投資のタイミングに関して、平均的他人に勝る判断力は自分にもプロにも無いことを前提として物事を考える』については、銘柄選択・投資のタイミングはプロ・アマを問わず「怪しい」と思うべきだと力説されています。加えて、チャート分析には将来の予測力が全く認められていないと一刀両断です。
これは消去法的に、パッシブ運用・インデックス運用のバイ&ホールド戦略の有用性を説いているのと同義だと私は思います。
山崎氏に、「手数料の高いアクティブ・ファンドを買って欲しいと願う金融機関のセールスマンは、相対的に良いアクティブ・ファンドが自分たちに判別可能であるかのように語る「職業的嘘つき」になる必要がある」とまで言われていますが、最近は、SNS等において、職業でもないのに「SNS的嘘つき」を演じるインフルエンサーが散見されます。
何のためにやっているのかあやしい。金融機関の人間のサブアカウント(通称サブ垢)では?と疑われるものも増えてきました。くわばらくわばら。
5の『「投資」と「投機」とを区別する』については、言わずもがなですが、生産活動にお金(≒資本)を提供するのが投資であり、FX(外国為替証拠金取引)や商品相場、暗号資産の価格などのように、市場で売り手と買い手が「ゼロサム・ゲーム的」に将来の価格を当てる競争をする構造のマーケットは投機だということ。
FXはともかく、暗号資産には熱烈なファンがいるので、あまり声高にはいいたくありませんが、それは金や原油にお金を投じるのと同じ「投機」だと私も考えています。
投機自体は悪いことではなく、世の中に必要なことであると考えていますが、一方で、個人投資家がバイ&ホールドで長期投資することで儲かる方向性が期待できるものではないとも考えています。だから、私は買っていないか、もし買ったとしても資産のほんの一部のお遊び程度に抑えるでしょう。
6の『税制上有利な「お金の置き場所」を有効に利用する』については、コラムではiDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)の活用をすすめています。「国内株式のインデックス・ファンドで手数料が低廉なもの以外に合理的な選択肢がない場合が殆どだ」と結論づけています。
私も全く同意見です。
7の『投資の3原則(長期投資・分散投資・低コスト)から判断する』にいたっては、当ブログのコンセプトそのものなので、言わずもがなです。
上記コラムの最後には「やってはいけない投資!」の練習問題として、30個の設問が用意されています。当ブログ記事を読んで「ええ!?」と驚きがあったかたは、ぜひやってみていただきたいと思います。内容を見るとSNS等でもよく見聞きする話なのですが、山崎氏はすべて「やってはいけないこと」として位置づけています。
何がいけないのか、考えてみるのも勉強になると思います。個人的には30個ほぼすべて賛成ですが、(17)(23)(30)は場合によってはアリではないかと思いました。あ、やっぱりほとんど同じ意見ですが、1割は違う意見でしたね。あなたはいかがでしょうか。
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