「気づけばアクティビスト天国」なのではなく、「今までが上場企業天国」だっただけ

水瀬ケンイチ

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日本経済新聞に「気づけばアクティビスト天国」という記事が掲載されています。

気づけばアクティビスト天国 官製指針が後ろ盾に

上場企業の株主総会が6月下旬に開催ピークを迎える。ここ数年は「アクティビスト」と呼ばれる物言う株主が突きつける要求に翻弄される企業が少なくない。折しも東芝と筆頭株主エフィッシモ・キャピタル・マネージメントとの攻防が明るみに出た。それもそのはず。実はいま、世界中のアクティビストが日本に押し寄せているのだ。「利己主義」「横暴」「宇宙人」。日本人アクティビストの草分けである村上世彰氏の通称「村上ファ


詳しくは上記記事をご覧いただきたいのですが、むりやりまとめると、ここ数年「アクティビスト」と呼ばれる物言う株主が突きつける要求に翻弄される企業が多く、アクティビストとの攻防で事実上、経営側の味方だった機関投資家が是々非々に転じたという内容です。

個人的には、最近、日本の株式市場が「アクティビスト天国」になったのではなく、今まで「上場企業天国」だったのが是正される過程にあるのだと感じます。

日本の企業は、いったん株式上場して資金調達した後は、資本効率や企業価値を高めることを考えなくても、さしたるプレッシャーもなくのらりくらりと上場し続けてこれた今までの方が異常だったのだと思います。

ROE(Return on Equity)は当期純利益を自己資本で割ったもので、株式投資家の投資効率を示す代表的な尺度ですが、日本の上場企業のROEは、欧米の上場企業のROEよりも低い水準のまま推移しています。


昔、個別株に投資していた頃に、株主総会にわざわざ行ったのに、経営者の棒読み説明に対して会場の最前列に陣取った社員株主たちが「異議なし!!」と連呼するだけで15分くらいで終わってしまう「シャンシャン総会」に辟易したことを思い出します。この企業の株式は適当なところで売り払って大いに儲けさせていただいたのですが、今はもう少しまともになってくれていることを願います。

株式を上場していることに対して、せいぜい会社に「箔をつける」くらいの意味しか認識しておらず、他人様のお金を使って事業運営しているという意識がない。そのような企業は本来、もっとはやく淘汰(買収や上場廃止)されるべきだったのかもしれません。

アクティビストたちは上場企業に、増配や自社株買い、社外取締役の選任といった要求をします。いま日本企業がアクティビストたちの標的にされているのは、そこに改善の余地があるからこそ、なのだと思います。世界に名だたる優良企業ではなくても、「すごくダメな企業」が「すこしダメな企業」に変わるだけで、株価は上がる要因になりますので。

いちインデックス投資家としては、資本効率を高める要求をしてくれる合理的なアクティビストたちの活動は応援したいと思います。

仕事で株主総会に携わっている身としては大変なんですけどね(汗)

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Posted by水瀬ケンイチ