【先進国株式】低コストインデックスファンド徹底比較(21年6月末) eMAXIS Slimが高評価

水瀬ケンイチ

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「低コストインデックスファンド徹底比較」シリーズ記事として、先進国株式クラスの主要なインデックスファンドについて、2021年6月末で比較しました。

※当シリーズ記事の説明書きとして、まずは『新シリーズ!「低コストインデックスファンド徹底比較」開始。まずは説明書き』をぜひご覧ください。

それではどうぞ。

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先進国株式クラスの比較対象インデックスは、「MSCI コクサイ・インデックス」。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどの先進国(日本以外)企業の株式に分散投資するインデックスです。

世界の株式時価総額における先進国株式クラスの比率は、実に8割を占めます。その先進国株式クラスの中でアメリカが7割を占めます。まさに世界の株式市場の中心です。残り3割がヨーロッパなどです。

株式投資の中心たる先進国株式クラスのインデックスファンドは、保有期間中ずっとかかる信託報酬が年率 0.1% 台まで下がっています。海外ETFとほぼ遜色ないコスト水準といって良いでしょう。それでいて、100円から投資できたり、分配金再投資が自動でできたり、自動積み立てができたりといった(海外ETFにはない)「投資信託の良さ」を備えています。ありがたや、ありがたや。

比較の結果、今回は「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」(運用会社:三菱UFJ国際投信)が信託報酬年0.1000%、インデックスとの差異 +0.2%と相対的に高評価です。

「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」の信託報酬は、純資産残高500億円まで年0.1023%、500億円を超えた部分は年0.1006%、1000億円を超えた部分は年0.0989%と下がっていく「受益者還元型信託報酬」が発動してどんどん下がってきています。2021年6月末現在、純資産残高2241億円になっており、当ブログでは加重平均して年0.1000%と表示しています。

その結果、信託報酬の安さで頭ひとつ抜きん出て、クラス最安値となりました。今後も、純資産残高の増加に応じて、信託報酬が 年率 0.0989% にだんだん近づいていくことが予想されます。

eMAXIS Slim 先進国株式インデックスもそうですが、配当込みインデックス連動で、インデックスとの差異がプラスに出ていることを不思議に思う方もいらっしゃるようです。たしかに、インデックスファンドの運用はインデックスから運用コストぶん下回るのがふつうです。

三菱UFJ国際投信のブロガーミーティングでは、インデックスファンドの運用がインデックスを上振れする要因として、指数の税率(例 米国30%)とファンドの税率(例 米国10%)が違うこと、貸株の活用による収入があるとのこと(該当記事)。純資産残高が大きなファンドがますます有利になりそうです。

次点では、「たわらノーロード 先進国株式」(運用会社:アセットマネジメントOne)が実質コスト年0.1520%と抑えられていて、1年リターンも +46.08%と相対的に高評価でした。

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要注意ファンドとしては「iシェアーズ 先進国株式インデックス」が、直近1年リターンが相対的に低すぎる異常値が、2020年6月末の確認時からずっと続いています。

直近の運用報告書を見ると、ベンチマークはMSCIコクサイですが、マザーファンドの運用がIVV(アメリカ)、EUE(欧州)、ISF(英国)、EPP(日本除くパシフィック)、XIU(カナダ)というETF銘柄の合成だからだと思われます。他にいくらでも先進国株式インデックスファンドの選択肢があるなかで、あえて選ぶ必要はないかと思います。

なお、「野村スリーゼロ先進国株式」(運用会社:野村アセットマネジメント)が信託報酬0%で登場しましたが、これは期間限定であり、将来(2031年から)の信託報酬が値上げされる設計になっているため、バイ&ホールドのインデックス投資の対象ファンドとしては「参考」扱いとしています。後で売るに売れなくなるつらさは身にしみてわかっているつもりです。

いろいろありますが結論。

先進国株式クラスの主要なインデックスファンドについて、2021年6月末で比較した結果、「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」が相対的に高評価でした。


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本ブログ記事は、私が執筆・監修した書籍のおすすめインデックスファンド情報のアップデート版という意味もあります。今後も定期的に継続していく所存です。


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