「名ばかりESG」ファンドにメスが入る
水瀬ケンイチ
最近、日本でも販売を伸ばしている「ESG」ファンドに、世界の金融当局によるメスが入るようです。
名ばかりESG、淘汰の局面に ドイツ運用大手株14%安(写真=ロイター)
急拡大するESG(環境・社会・企業統治)投資の実態に焦点が当たり始めている。26日の欧州株式市場ではドイツ銀行グループの資産運用大手DWSの株価が前日比14%安と急落した。米国とドイツの金融当局がESG投資への取り組みを巡ってDWSに調査に入ったとの報道がきっかけ。世界の金融当局は、名ばかりで内実を伴わないESG投資の規制を強めており、ESG投資は淘汰の局面に差し掛かった。米紙ウォール・ストリ
8月4日のブログ記事「投信のテーマ型急増と一物多価が金融庁の報告書で浮き彫りに」でも指摘していたとおり、金融庁が6月に発表した「投資信託等の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果」では、大手証券会社などの販売額上位5投信を集計すると2020年度はテーマ型投信が68%もあり、2019年度の28%から急増しています。このテーマ型投信が「ESG」「SDGs」ファンドだというのです。
テーマ型投信とESGの相性の良し悪しはひとまず横に置いておいたとして、少なくとも、「ESG」の名前を使うというのであれば、投資家がESGに関する運用方針を投資前に確認できて、投資した後も、ESGに関する運用方針どおりに運用されているかどうかを確認できる仕組みになっていなければいけないと思います。
それができない「名ばかりESG」ファンドが淘汰されていくのは仕方なしでしょう。
もっとも、本来、ESGは特別なテーマではなく、すべての上場企業の行動原則であるべきもののはずですが、そこはまあ過渡期ということで。
日本経済新聞に、金融機関の「顧客本位の業務運営」への変化が不十分だとする記事が掲載されています。投信、テーマ型急増や「一物多価」 顧客本位は道半ば岡根 つみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)の口座が急増中だ。最近発表された2021年3月の口座数は前年同期比65%増えた。ハナ 「貯蓄から資産運用」への動きが本格化したのかしら。岡根 動きはまだ一部で、NISA以外も含む全体では20年度のリスク性金融商品の販...
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