無分配ファンドが自由!

水瀬ケンイチ

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運用開始以降、一度も分配金を支払ったことのない「未分配ファンド」の投資信託市場でのシェアが4割を超えてきたとのこと。良い傾向だと思います。

広がる「分配金は不要」 未分配投信の残高4割超す

運用開始以降、一度も分配金を支払ったことのない「未分配ファンド」の投資信託市場でのシェアが4割を超えてきた。毎月分配型を中心に分配金を出すファンドが市場を席巻していた10年前には全体の1割にも満たなかった。つみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)や確定拠出年金(DC)制度が普及期に入ってきたのも、未分配ファンドの台頭を後押ししている。設定から現時点


資産形成においては、投資信託は無分配の方がよい。この「あたりまえ」のことが理解されるのにいったい何年かかったのでしょうか。

投資信託が分配金を出せば、その分だけ基準価額が下がる。いわゆる「分配金落ち」が必ずあります。この「あたりまえ」のことが理解されるのにいったい何年かかったのでしょうか。

投資先の配当等は投資信託内で非課税で再投資された方がそのぶん基準価額が上がっていくので効率的でよい。この「あたりまえ」のことが理解されるのにいったい何年かかったのでしょうか。

しかも日本の投資信託の場合、投資先から得た配当以上に分配金を出すことができてしまうため、自分で投資した元本を勝手に取り崩され、まるでタコが自分の足を食べてしまうような「タコ足投信」と言われてきました。それでも、目先の分配金を投資家がことさらありがたがり、毎月分配型投信ばかりが売れるという時代が長く続いてきました。

上記日経記事にあるように、未分配ファンドが投信市場の過半を占めるのは時間の問題とみられ、ようやく、投資信託市場は正気を取り戻しつつあるようです。



なお、高齢者向けには毎月分配型投信もよいのではないかという意見がかつては散々言われてきました。今は証券会社の「投信自動解約サービス」というものがあり、投資家は自分の都合に合わせて自動的に投資信託を取り崩すことができます。分配金を受け取ることと、分配金と同じ金額を売却して取り崩すことは、本質的にはまったく同じです。

投資信託の運用会社の勝手な都合で勝手な金額を分配されるよりも、無分配ファンドで効率的に運用して、お金が必要になったら自分で売却(もしくは自分で決めた金額 or 比率で自動的に売却)した方がよほど自由でよいと思います。

私が「無分配」ファンドと表記しているのに対して、上記日経記事では「未分配」ファンドと表記していることにも、投資家にとっての無意味な縛りがあらわれています。何から何まで課税したくてしたくて仕方がない財務省の大昔の通達やらなんやらの手前、運用会社は分配金を出さずに課税を繰り延べできるファンドを「これは無分配ファンドです」とうたうことが難しい、という昔ながらの悪しき慣習がいまでも残っているのです。だから、設定以来いまのところまだ分配金を出していないという実績ベースの「未分配」という曖昧な表現しかできないのです。

投資信託の世界は、今まで金融機関の都合で決められてしまうことがあまりにも多すぎました。おすすめ商品しかり、分配金しかり、繰上償還しかり、取扱廃止しかり。投資家が自分の考えに合う金融機関や金融商品を選んで活用する。この方が健全だと私は思います。

上記日経記事の結びに「投信市場の主役が高齢層の投資家から分配金には魅力を感じない若年層にじわり交代する動きが出始めてきたようだ」とありました。まさに我が意を得たりと思います。


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Posted by水瀬ケンイチ