【新興国株式】低コストインデックスファンド徹底比較(21年9月末) 今回もベストファンド該当なし

水瀬ケンイチ

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「低コストインデックスファンド徹底比較」シリーズ記事として、新興国株式クラスの主要なインデックスファンドについて、2021年9月末で比較しました。

※当シリーズ記事の説明書きとして、まずは『新シリーズ!「低コストインデックスファンド徹底比較」開始。まずは説明書き』をぜひご覧ください。

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新興国株式クラスの比較対象インデックスは、「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」もしくは「FTSE エマージング・インデックス」です。中国、台湾、インド、ブラジルなどの新興国の株式に分散投資するインデックスです。

今回、新興国株式クラスのベストインデックスファンドは、当シリーズ記事初の「該当なし」とさせていただきます。理由は以下のとおりです。

SBI・新興国株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま新興国株式)」(運用会社:SBIアセットマネジメント)が、信託報酬 年0.1760%、実質コスト 年0.19%、インデックスとの差異±0%で、本来なら良い評価になるはずなのですが、1年リターンが1位のファンドと比べて2%以上低く、2020年12月末から1年近く異常値が続いています。

一方で、もっとも1年リターンが高い「iシェアーズ 新興国株式インデックス・ファンド」(運用会社:ブラックロック)は、インデックスとの差異において、+6.2%という(プラスながら)およそインデックスファンドとは言えないような大幅な乖離を示しています。プラスとはいえベンチマークから大幅乖離するインデックスファンドは良い運用とは評価できないと考えます。

結果的に、最も低コストなインデックスファンドはリターンが著しく低く、最もリターンが高いインデックスファンドはベンチマークのインデックスと連動していない。この両極端な状況に鑑みて、今回はベストファンドは当シリーズ記事初の「該当なし」とさせていただきました。

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eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」(運用会社:三菱UFJ国際投信)が、信託報酬、実質コストがまあまあで、1年リターンが +25.76%とまあまあとなっており、バランスを考慮してセカンドベストとしてあげておきたいと思います。

要注意ファンドとしては、「たわらノーロード 新興国株式」「Smart-i 新興国株式インデックス」が、配当含むインデックス連動にもかかわらず、インデックスとの差異がマイナス2.9%と大きく出ており(他の配当含むインデックス連動ファンドは皆プラス)、他に選択肢がいくらでもある中であえて選択する意味はない状況となっています。お気をつけを。

新興国株式クラスは、低コストがそのまま高リターンに必ずしもつながらない、難しい資産クラスだということがいえそうです。

いろいろありますが結論。

新興国株式クラスの主要なインデックスファンドについて、2021年9月末で比較した結果、ベストファンドは該当なし。セカンドベストとしては、「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」がバランス的にまあまあ高評価です。


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本ブログ記事は、私が執筆・監修した書籍のおすすめインデックスファンド情報のアップデート版という意味もあります。今後も定期的に継続していく所存です。


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