「つみたてNISA」が順調ですが、意外と短期に売却した人も多かった!?
水瀬ケンイチ
2018年に開始された「つみたてNISA」(少額投資非課税制度)が口座数、買付額とも順調に増加中ですが、既に売却してしまった人もけっこういるようです。
つみたてNISAの実態は?~これから多くの人の資産形成の助けになることを期待~
2018年1月から始まった つみたてNISA(少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度)。直近、公表された2021年6月末時点での口座数(棒グラフ)は417万口座と400万口座を超えたことが明らかにな...
上記のニッセイ基礎研究所のレポートによると、つみたてNISAは、2021年6月末時点での口座数は417万口座と400万口座を超えています。買付額も右肩上がりで増加して、2021年6月末時点で制度開始以降の買付金額が累計で1兆600億円と1兆円を超えたとのこと。直近1年間では7,000億円前後が買い付けられる見込みというから、勢いがついています。
あわせて、制度開始以降のつみたてNISA対象投信のパフォーマンスも総じて良いことが各種マスコミでも報道されています。当ブログでも何度か取り上げてきました。
つみたてNISA対象投信すべてがプラス。慢心せずに継続、継続!
少額投資非課税制度(つみたてNISA)の対象投信がすべて含み益になったと日本経済新聞でも報道されています。つみたてNISA対象投信、すべてが含み益に2018年1月に始まった積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)。そこから3年半の間に何度かの世界的な株安に見舞われ、制度を利用して投資信託を買った人は含み損を抱える局面もあった。それでも元本割れを気にせず、淡々と積み立て投資を続けた人は一定の成果を手にしてい...
「つみたてNISA」開始から3年半、つみたて投資家は最大70万円の含み益!
日経電子版に2018年1月の「つみたてNISA」開始から3年半でどれだけの運用成果になっているのかというデータがありました。つみたてNISA3年半、コツコツ続けた成果は?つみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)が2018年1月にスタートしてから3年半あまりの月日がたった。導入当初に積み立て投資を始めていたら、いったいどれだけの運用成果になったか、今年7月末時点で計算してみた。算出対象は、国内公募の追加型株式投資信...
一方で、上記のニッセイ基礎研究所のレポートは、意外と短期に売却した方も多かったと指摘しています。2020年末時点でつみたてNISAで実際に得られた収益を推計すると7,927億円だが、694億円は既に売却されているとのこと。
「つみたてNISAとは、特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です」(出典:金融庁WEBサイト)という金融庁の説明のとおり、つみたてNISAの非課税期間はつみたて開始から20年と長期となっています。それを短期間で売却して放棄してしまうのはなんとももったいないと私も思います。
一方で、よく比較される非課税制度の「iDeCo」(個人型確定拠出年金)との最大の違いは、iDeCoは積み立てた資金を原則60歳まで引き出せないけれど、つみたてNISAはいつでも引き出せることにあると思います。
上記のニッセイ基礎研究所のグラフもちょっとしたマジックが。3年間の売却額694億円(オレンジ色の棒グラフ)は非常に大きく見えますが、よく見ると、縦軸の金額は0から始まっておらず、6,800億円から始まっています。割合でいえば買付残高の1割弱程度の売却です。これくらいなら、家や車の購入や急な入院など人生における要りようで投信を売却する人が、3年で1割くらいいても別におかしくないレベルだとも考えられます。
レポートの結びにある「つみたてNISAは確実に活用が広がってきてはいるが、制度開始から4年目と短い期間ということもあり、制度が資産形成の本当の助けるようになるには、まだまだこれからといえそうである」という意見に賛成です。積み立て投資は10年、20年と継続して初めて、真の力を実感できるようになるものだと思います。
ぜひ、非課税制度をフル活用して積み立て投資を「継続」しましょう。
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