みずほFGがインデックスファンドの「一物多価」を解消へ?

水瀬ケンイチ

up-2081170_1280_20211019.jpg


日本経済新聞によると「みずほフィナンシャルグループ(FG)は、グループ内で扱う同じ指数に連動するインデックス型投資信託の手数料を統一する。最低水準の0.50%にそろえる」とのこと。

みずほ、同種の投信は手数料統一 「一物多価」を転換

みずほフィナンシャルグループ(FG)は、グループ内で扱う同じ指数に連動するインデックス型投資信託の手数料を統一する。最低水準の0.50%にそろえる。投信業界では実質的に同じような運用をしていても手数料にばらつきがあることが常態化しており、「一物多価」を解消する機運が高まりそうだ。グループ内のみずほ証券やみずほ銀行で販売するインデックス投信について、保有している人から一定比率でとる信託報酬を最低


同じ運用会社のなかに、同じ指数に連動するインデックスファンドであるにもかかわらず信託報酬が高いのから安いのまで異なる商品が複数存在する、投信のいわゆる「一物多価」問題があります。金融庁もかねてより問題視していました。

同じ指数に連動するインデックスファンドで信託報酬が高いものは、手数料引き下げ競争から追いつけず取り残されている状態が放置され続けてきたものです。たまたま口座を開いている金融機関に時代遅れの商品ラインナップしかないから投資しているとか、昔から投資していて含み益が乗っていて売却できないとか、そういう制限でもない限り、投資家にとっては何のメリットもありません。

これらの信託報酬を安い方に統一する取り組みは、素晴らしいことだと思います。

ただ、みずほFGは日経平均連動のインデックスファンドの信託報酬を最低水準の年0.50%にそろえると書かれていますが、みずほFGのアセットマネジメントOneには「たわらノーロード日経225」(信託報酬年0.187%)や、「みずほ日経平均ファンド<DC年金>」(信託報酬年0.275%)という日経平均連動インデックスファンドがあります。

いろいろな事情があるとは思いますが、日経平均連動のインデックスファンドで今どき信託報酬が年0.5%というのは、既に時代遅れの高コスト水準です。みずほFGの公式発表はまだですが、日本経済新聞が先行報道した「最低水準の0.50%にそろえる」という表現の「最低水準」は事実ではありません。

ある意味で一物多価は解消されず、「法外に高い」信託報酬の商品群が「まあまあ高い」信託報酬に統一されただけで、これから投資をはじめる方々は別の超・低コストインデックスファンドを選ぶ必要があるのは今までどおりともいえます。

日本経済新聞の表現が勇み足なのは問題ですが、やむにやまれぬ理由から、みずほFGの高コストな古いタイプのインデックスファンドに投資し続けている投資家にとっては朗報ですし、「みずほの取り組みが同業他社にも広がるかどうかは、金融機関の『顧客本位の業務運営』が有言実行かを見極める一つの目安になる」という結びの言葉には賛成です。

インデックスファンドの「一物多価」問題の解消が、ほかの金融機関にも広がってほしいです。


投信のテーマ型急増と一物多価が金融庁の報告書で浮き彫りに

日本経済新聞に、金融機関の「顧客本位の業務運営」への変化が不十分だとする記事が掲載されています。投信、テーマ型急増や「一物多価」 顧客本位は道半ば岡根 つみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)の口座が急増中だ。最近発表された2021年3月の口座数は前年同期比65%増えた。ハナ 「貯蓄から資産運用」への動きが本格化したのかしら。岡根 動きはまだ一部で、NISA以外も含む全体では20年度のリスク性金融商品の販...

そんなバカな!? インデックスファンドのびっくり仰天ニュース

インデックスファンドに関するびっくり仰天ニュースがモーニングスターに掲載されていました。モーニングスター ファンドニュース2021/03/08 先週の流入額上位-「日経225ノーロードオープン」が約1年ぶりのトップ(先週の流入額上位-「日経225ノーロードオープン」が約1年ぶりのトップ| モーニングスターより引用)驚いたのはインデックスファンドが週間流入額で1年ぶりのトップを取ったからではありません。「日経225ノーロ...

投資信託の一物二価ならぬ「一物多価」を日本経済新聞が指摘

日本経済新聞電子版に、投資信託の一物二価ならぬ「一物多価」についての記事が掲載されています。投信の一物多価は許せるか 同じ商品で異なる報酬同じ商品に別々の価格がつく「一物多価」と聞くと、証券関係者の多くはけげんな顔をするだろう。売り買いの綱引きで1つの株価が決まる証券取引の世界に親しんでいるからだ。ところが、投資信託はまったく同じ運用なのに、違う商品名を付け、別々の運用報酬で売ることがある。「知らぬ...



当ブログの低コストインデックスファンド徹底比較のカテゴリです。主要なアセットクラスのインデックスファンド比較情報を、定期的(3か月ごと)に更新しています。「頂上決戦」の信託報酬レベルをご確認いただけたらと思います。

関連記事




投資判断は自己責任でお願いします。当ブログの情報により投資判断を誤ったとしても、管理人は責任を負えません。また、当ブログ内容の無断転載を禁じます。

Posted by水瀬ケンイチ