みずほFGがインデックスファンドの「一物多価」を解消へ?
水瀬ケンイチ
日本経済新聞によると「みずほフィナンシャルグループ(FG)は、グループ内で扱う同じ指数に連動するインデックス型投資信託の手数料を統一する。最低水準の0.50%にそろえる」とのこと。
みずほフィナンシャルグループ(FG)は、グループ内で扱う同じ指数に連動するインデックス型投資信託の手数料を統一する。最低水準の0.50%にそろえる。投信業界では実質的に同じような運用をしていても手数料にばらつきがあることが常態化しており、「一物多価」を解消する機運が高まりそうだ。グループ内のみずほ証券やみずほ銀行で販売するインデックス投信について、保有している人から一定比率でとる信託報酬を最低
同じ運用会社のなかに、同じ指数に連動するインデックスファンドであるにもかかわらず信託報酬が高いのから安いのまで異なる商品が複数存在する、投信のいわゆる「一物多価」問題があります。金融庁もかねてより問題視していました。
同じ指数に連動するインデックスファンドで信託報酬が高いものは、手数料引き下げ競争から追いつけず取り残されている状態が放置され続けてきたものです。たまたま口座を開いている金融機関に時代遅れの商品ラインナップしかないから投資しているとか、昔から投資していて含み益が乗っていて売却できないとか、そういう制限でもない限り、投資家にとっては何のメリットもありません。
これらの信託報酬を安い方に統一する取り組みは、素晴らしいことだと思います。
ただ、みずほFGは日経平均連動のインデックスファンドの信託報酬を最低水準の年0.50%にそろえると書かれていますが、みずほFGのアセットマネジメントOneには「たわらノーロード日経225」(信託報酬年0.187%)や、「みずほ日経平均ファンド<DC年金>」(信託報酬年0.275%)という日経平均連動インデックスファンドがあります。
いろいろな事情があるとは思いますが、日経平均連動のインデックスファンドで今どき信託報酬が年0.5%というのは、既に時代遅れの高コスト水準です。みずほFGの公式発表はまだですが、日本経済新聞が先行報道した「最低水準の0.50%にそろえる」という表現の「最低水準」は事実ではありません。
ある意味で一物多価は解消されず、「法外に高い」信託報酬の商品群が「まあまあ高い」信託報酬に統一されただけで、これから投資をはじめる方々は別の超・低コストインデックスファンドを選ぶ必要があるのは今までどおりともいえます。
日本経済新聞の表現が勇み足なのは問題ですが、やむにやまれぬ理由から、みずほFGの高コストな古いタイプのインデックスファンドに投資し続けている投資家にとっては朗報ですし、「みずほの取り組みが同業他社にも広がるかどうかは、金融機関の『顧客本位の業務運営』が有言実行かを見極める一つの目安になる」という結びの言葉には賛成です。
インデックスファンドの「一物多価」問題の解消が、ほかの金融機関にも広がってほしいです。
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