最も信託報酬が高いファンドの実力やいかに
水瀬ケンイチ
2021年9月末現在で全ファンドの中で、最も信託報酬が高いファンドは、信託報酬年3.3%超の「ノムラ・グローバルトレンド(バスケット通貨選択型)」とのこと。実力やいかに。
全然ダメじゃん。
同ファンドが設定された2011年4月からのパフォーマンスは、全世界株式(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)に負け続けた結果になっています。全世界株式のトータルリターンが259%だったことに対し、「円コース」は運用コスト控除後で7.38%、「アジア通貨コース」が96.59%、「資源国通貨コース」が21.85%。どのコースでも大負けです。
比較対象が全世界株式(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)なのはおかしいというご意見もあろうかと思いますが、モーニングスターによると10年実績は、同じカテゴリ(ヘッジファンド)内で、リターン12位/17本、標準偏差11位/17本、シャープレシオ15位/17本という成績で、率直にいって「並」以下です。
上記モーニングスターの記事では、唯一、コロナショックの時にはマイナスにならなかったみたいなことをピンポイントで褒めていますが、そのピンポイントで下がらないことを期待して、超・高い信託報酬を支払いながら、ほぼ全投資期間(10年間)で単純なインデックスに負け続けるのを甘受するという人は少数派だと思います。
仮にこのファンドに1000万円投資して10年間抱えた時に、野村アセットマネジメントに支払う信託報酬の総額は単純計算で330万円です。お金を増やすために払うお金(手数料)として高過ぎでしょう。
株式の好調が今後10年も続くかどうかを考えると「リスクを抑えた運用」の利用価値も出てくるという意見が書かれていますが、もし、今後10年で株式が上がらないという確信があるのであれば、こんな超・高コストの投信を抱えるのではなく、資金の大半を個人向け国債変動10年やネット銀行の定期預金(もちろん信託報酬なし)にでも入れておいた方がいいのにと私は思います。
コストは確実にかかる一方、将来のリターンは不確実ですから。
追伸
…があったのですが、ご指摘が入りごもっともだと考え削除しました。
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