信託報酬年率0.077%の超・低コストなMSCIコクサイ連動(?)の投資信託が出る!?
水瀬ケンイチ
SOMPOアセットマネジメントから、信託報酬が年率0.1%以下の超・低コストなMSCIコクサイ連動(?)の投資信託が出るとのニュースです。
個人向け投資信託の運用手数料の引き下げ競争が再び激化している。SOMPOアセットマネジメントは外国株に投資する業界最安の投信を投入する。ネット系運用会社も低コスト投信を武器に経済圏の構築を目指す。若年層の積み立て投資など長期運用の追い風になるが、運用業界の苦境は深まる。低収益が運用会社の経営体力を奪い、課題の運用力強化が遠のくリスクもある。SOMPOアセットは近く、日本を除く先進国株を対象とす
上記の日経記事によると、信託報酬は税込みで年率0.077%で、日本を除く先進国株を対象とする株価指数MSCIコクサイとの変動幅が上下2%程度に収まるように運用するとのこと。
超・低コストじゃないですか!
でも、ちょっとまってください。MSCIコクサイの構成銘柄は約1300銘柄ありますが、ファンドマネジャーが123社を選び、銘柄入れ替えの頻度を半年に1回程度にとどめて運用コストを抑えるとあります。MSCIコクサイに「連動」することを目指すのではなく、「上下2%程度に収まるように運用」だとすると、純粋なインデックスファンドではないのかもしれません。
先進国株式連動インデックスファンドの期待リターンは年率5~6%程度なので、もし恒常的に2%も下方乖離するようだと、存在価値はないでしょう。ライバルのインデックスファンドと比べて信託報酬を年0.1%低く抑える代わりに、リターンを年2%も下げられてはかないません。
SOMPOアセットマネジメントという社名になじみがなく、会社概要を見てみたら、でかでかと「長期投資の王道は『アクティブバリュー投資』」というメッセージが掲載されていました。けっこうなことです。
アクティブファンドでは、ベンチマークを恒常的に1%上回れるファンドマネージャーがいたら相当優秀だと言われます。SOMPOアセットマネジメントの運用手腕に注目したいと思います。
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