NISA口座の2017年分のロールオーバー手続きをしましたが、そもそも毎年毎年、年末にロールオーバー要否検討させるしくみってどうなの
水瀬ケンイチ
2021年12月、NISA口座(つみたてNISAではなく一般NISAの方)の2017年分について、5年間の非課税期間が満了しますが、悩んだ結果、結局今年も「ロールオーバー」(非課税期間の5年間延長)の手続きをしました。
2017年分のNISA口座では、海外ETF「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」(VT)等を120万円購入して、幸いにも2021年12月の本日時点で約77万円の含み益があります。ロールオーバーする場合、非課税期間満了時(2021年12月末)の時価で、2022年のNISA枠を使用しロールオーバーとなります。
いまから5年後の2026年に、2021年末の時価を超えていればロールオーバーは成功です。おめでとう。しかし、超えていなければロールオーバーしたことは失敗となります。失敗すると、2021年末以降の非課税メリットが受けられないだけでなく、損失の損益通算ができず「泣きっつらにハチ」状態となります。
毎年どうするか悩むのですが、やはり5年後時点の相場状況予測などできないので、結局、今年もロールオーバーすることにしました。これでさらに5年間、非課税のまま運用継続が可能です。
私が利用している楽天証券の場合、2021年12月30日 15:00までロールオーバーの手続きが可能です。また、私のように既に手続きが完了した人も、2021年12月30日 15:00までは判断を変更することが可能です。このあたりのフレキシブルな利便性は年々進歩していますね。
一般NISAの制度は2023年に終了し、2024年からは2階建て&非課税期間5年間の「新NISA」に生まれ変わります。一般NISAから新NISAへのロールオーバーも可能になるそうです。
ただ、毎年のことですが、金融庁さんにひとこと言わせてください。
そもそも、少額投資家に毎年毎年、年末に5年後の相場予測とロールオーバー要否を検討させるしくみってどうなのでしょうか。
長期投資なのだから、短期(5年)の相場予想に基づく売買でリターンを得るのではなく、少なくとも「つみたてNISA」のように20年とか、あるいは30年とかそれくらい時間をじっくりかけて、長期で均した期待リターンを得るものだと思います。
このしくみ自体、NISA制度の「長期投資の普及」という趣旨と相容れない部分があります。できることなら、運用資産を長期でじっくりと寝かせておけるように、非課税期間はずっと続いてほしいと思います。NISA導入の際にお手本にした英国のISAのように。
金融庁さんには、長期投資の成功体験が国民に広まるように、NISA制度の非課税期間の恒久化を要望します。
このブログでも何度も要望してきましたし、オンラインイベントやセミナーの際にも要望してきましたし、これからも機を捉えて要望させていただきます。
ここからは余談です。
正直に言って、もはや私個人にとっては少額投資非課税制度であるNISAの非課税期間がどうなろうと運用資産全体に与える影響はほとんどありません。少額投資非課税口座の外の課税口座で、シンプルな長期の資産運用がまずまず成功しているからです。毎年この「5年後に上がっているかどうかを当てに行くゲーム」もささやかな楽しみのひとつにするかいなという心境です。
しかし、これから少額で投資をはじめる若い投資初心者の方々のためにお願いしています。既存の爺婆投資家とそれを取り巻く金融機関がどうこうではなく、未来に向けて、若い投資家層の長期投資の成功体験が広まるように、そろそろこのシャビーな制度をなんとかしてあげてください金融庁さん。
重ねて、NISA制度の非課税期間の恒久化を要望します。
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