つみたてNISA対象のアクティブファンド10本のうち、インデックスを上回ったのは半分
水瀬ケンイチ
「つみたてNISA」対象のファンドはインデックスファンドが大半ですが、アクティブファンドも10本ほどあります。インデックスを上回ったアクティブファンドはあったのでしょうか。
つみたてNISAのアクティブファンドはインデックスをアウトパフォームできたか?=制度発足来の積立投資結果
つみたてNISA対象ファンドは、低コストのインデックスファンドによる積立投資を推奨する制度になっているが、非常に厳しい条件を課した上で、一部のアクティブファンドを対象に加えている。
上記モーニングスターの記事によると、つみたてNISA制度が開始された2018年1月から直近までの47か月間に毎月1万円の積立投資を継続した場合の運用成果を調べたところ、「キャピタル 世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)」など5本がインデックスを上回ったとのこと。
逆にいえば、それ以外の5本はインデックスを下回りました。ベンチマークを設けていないアクティブファンドもありますが、モーニングスターが妥当と判断したインデックスと比較した結果です。
一般にインデックスを上回ることを目指すのがアクティブファンドの目的なので、半分負けたというのは厳しい現実に見えるかもしれません。しかし、実際は「アクティブファンドの7~8割はインデックスを下回る」ことが世界中の調査で観測されていますので、半分しかインデックスを下回っていないというのはまだ良い結果だと思います。
せっかくなので、記事で取り上げられていた「キャピタル 世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)」について少し調べてみました。
「主に、世界各国の株式等へ分散投資。個別企業の徹底した調査に基づく銘柄選択により超過収益の獲得を目指す、ボトム・アップ・アプローチのアクティブ運用を行う。複数のポートフォリオ・マネジャーが運用に携わることによって、投資対象やアイデアの分散を図り、安定的かつ継続的な運用成果の獲得を目指す。ファンドオブファンズ方式で運用。8月決算」(モーニングスターより引用)
全世界株式クラスのアクティブファンドには、正直まともなものがほとんどない中、このファンドは良いアクティブファンドである可能性を感じます。覚えておきたいと思います。なお、今回の調査期間である4年間の積み立て実績が、今後も続く保証はまったくありませんので、そこは冷静に見る必要があるでしょう。
おもしろいことに、ほぼ同名の「キャピタル 世界株式ファンド」というファンドもあり、これが間違いやすそうです。ファンドの中身は両方同じで、ルクセンブルク籍円建外国投資信託証券「キャピタル・グループ・ニューパースペクティブ・ファンド(LUX)(クラスC)」に投資するファンド・オブ・ファンズ。違うのは手数料です。
■キャピタル 世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)
購入時手数料 なし
運用管理費用(信託報酬) 年率1.078%
信託財産留保額 なし
■キャピタル 世界株式ファンド
購入時手数料 最大3.3%
運用管理費用(信託報酬) 年率1.694%
信託財産留保額 なし
上記モーニングスターの記事で「キャピタル 世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)」に興味を持って、間違って「キャピタル 世界株式ファンド」の方を買ってしまわないように気をつけてください。
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