自分の中に芯を持ち、航路を守るための具体的方法
水瀬ケンイチ
何をそんなにビビっているのか。なぜそんなに怯えているのか。「○○さんが売った」「△△氏がネガティブ」みたいなありきたりなSNSの情報に心を揺さぶられ過ぎではないのか。
今まで他人の投資法にずっと言いがかりや皮肉をぶつけてきたような人が、めちゃくちゃにグラグラしているようです。自分の投資法について今までいったい何を学んできたのか。
リスクがある投資なので儲かるか損するか誰にも確かなことはわかりません。しかし、今まで強気で他人を叩いてきた人が急に弱気になって怯えているのを見ると悲しくなるのを通り越して正直、引きます。
自分の中に芯を持て。航路を守れ。
抽象的な話は、以上。
ここからは極めて現実的な話をします。結局のところ、どんなにいきがっても、わかったようなことを匂わせても、いつ暴落が来るかは誰にもわからないというのが身もふたもない現実です。
であるならば、それを受け入れた上で、もし、暴落が来たとして自分が耐えられるかどうかを予め試算しておくのが次善の策です。この次善の策をないがしろにしてやらない人が多過ぎる。
私のお気に入りは「ファンドの海」さんの「アセットアロケーション分析」です。
http://guide.fund-no-umi.com/tools/aa.html
日本債券、日本株式、先進国債券、先進国株式、新興国株式の各資産クラスの比率(金額)を入力すれば、ポートフォリオ全体の期待リターンとリスク(標準偏差)がすぐに出ます。
暴落の目安=期待リターン(%)-{2×リスク(標準偏差%)}
上記の計算式で1年後の最大損失の「目安」が計算できます。かんたんな計算でしょう。もし最大損失が自分のリスク許容度を越えてしまっていた場合、対応はかんたんで、リスク資産の投資金額自体を減らすか、ポートフォリオの株式比率を下げることです。それでポートフォリオ全体のリスクは下がります。また計算してみればいい。
ただし1年後ですよ、1年後。長い投資期間全体の中の最大損失だとなぜか誤解している人が多いので何度でも言いますが、1年後の目安です。1年目に上記の暴落がきた後に2年目にまあまあの下げ相場になれば、上記以上の損失になります。勘違いしないようにしましょう。
なに? 米国株のS&P500やレバナスはどう計算すればいいか? 国内のマザーズの個別株はどう計算すればいいかって?
逆に聞きたいのですが、それら自分が投資している投資対象の期待リターン・リスク・相関係数をわからずに、どうやってポートフォリオ全体の期待リターン・リスクを把握していたのでしょうか。よく今日まで投資できていましたね。
ネット上には国内外の機関投資家等により各資産クラスの期待リターン、リスク、相関係数の3つのデータが公開されています。それらを参考にするのが個人投資家の定石です。それらがあれば、上記「アセットアロケーション分析」のツールに手入力して計算ができます。どうしても期待リターン、リスク、相関係数のデータがどこにも見当たらないということであれば、それらに投資するのはまだ早すぎたということで、スタンダードな投資対象に戻した方が身のためです。
あやふやな相場に対してできるかぎり確率・統計の「数字」で把握する。それが人類の知恵です。現代の資産運用とはそういうものです。決して○○さんが買ったら真似して買って、△△さんが売ったら真似して売ることで儲けるのが資産運用ではありません。
長く続けるためには抽象的な話ではなく、具体的な数字で物事を捉えて計算した上で、それでどっしり構えていればよいのだと思います。私は20年間そうして生き残ってきました。
以上、自分の中に芯を持ち、航路を守るための具体的方法についての記事でした。
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