公的年金を計画的な資産取り崩しに活用するという考え方
水瀬ケンイチ
日本経済新聞に公的年金の繰り下げ受給についての記事が掲載されています。75歳まで繰り下げると、受給額8割増が生涯続くのはありがたいです。
「老齢年金の繰り下げ受給に関心を持つ人が増えている」と話すのは、年金相談業務に携わる社会保険労務士の高橋義憲氏。年金の受給開始は原則65歳。しかし1カ月遅らせるごとに0.7%増える。今は66歳0カ月から70歳0カ月まで1カ月単位で繰り下げが可能で、70歳受給開始なら42%増だ。今年4月から選択期間が75歳0カ月まで広がり、75歳なら84%増となる。増額された額が終身で続くので「長生きリスク」に対
人には寿命というものがありますので、万人にとって75歳繰り下げ受給がよいかどうかはわかりません。自分が長生きしそうか、そうではないかを考えて選ぶのでしょう。
個人的にはまだまだ先の話ではありますが、投資家として見ると75歳繰り下げ受給を計画的な資産取り崩しに活用するという考え方があります。
せっかく積み上げた運用資産を取り崩すことに抵抗があるかたは多いはず。晩年に貧乏生活になるのがこわくて、資産を取り崩せないという思いです。そこで、75歳までは自分の資産をどんどん取り崩していき、75歳になったらあとは割り増しされた年金を受給してなんとか生きていく。そんな計画に75歳繰り下げ受給を使うのです。
請求しなければ年金は支払われず自動で繰り下げになるというしくみも、公的サービスの不親切な設計を逆手に取って、年金受給をギリギリまで引っ張って割り増しするのに便利だと考えることもできそうです。
なに、75歳までに亡くなってしまったら年金をもらえなくて払い損じゃないかって? 年金はもともと予想外の出来事に備える「保険」なのだから、予想外の長生きにならなかったら、それはそれでいいと私は思います。
さすがに、65歳よりも前に亡くなってしまえば年金自体が縁のない話になってしまうので、心身の健康を大切にしたいものですね。
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