プロの機関投資家と同じレベルの高度な運用戦略?
水瀬ケンイチ

三菱UFJモルガン・スタンレー証券は国内の営業店舗で個人投資家向けに投資助言のサービスを始め、社内資格を持つ営業員が、プロの機関投資家と同じレベルの高度な運用戦略をアドバイスするそうです。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は国内の営業店舗で個人投資家向けに投資助言のサービスを始める。社内資格を持つ営業員が、プロの機関投資家と同じレベルの高度な運用戦略をアドバイスする。提携先の米モルガン・スタンレーが持つ知見も活用し、顧客ごとに最適な資産配分を提案できる体制を整える。営業店の一部でサービスの提供を始めており、今年度中に国内の全51店舗で展開する。専門知識を持った営業員が顧客のリス
「プロの機関投資家と同じレベルの高度な運用戦略」というのは魅力的な響きです。しかし、実際のところ、自分のリスク許容度の範囲内で全世界株式インデックスファンドに積立投資すること以上の投資助言があるのでしょうか。
どこかにプロしか知らない投資対象が存在して、自分の知らないところでそれらで儲けている人たちがいるのではないか。そのような無邪気な妄想がこのビジネスの根源であるような気がします。
これをいうと身もふたもないのですが、プロの機関投資家でも天才個人投資家でも、投資対象は株式、債券、REIT、コモディティ、為替等であり、投資行動はそれらを買うか売るかそのまま保有するかしかない。
そして、プロがひしめき合っている市場で、大半のプロが単なる市場平均を上回れないのが、古今東西の調査結果で出ています。理由としては、プロたちが自分自身には勝てないという定性的な理由に加えて、投資家が余計な手数料を払ってしまうことがパフォーマンスを引き下げるという定量的な理由の両方があります。厳しいですよね。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券がどのようなアドバイスをしてくれるのかは私にはわかりません。
もし、年明けからの下げ相場であるこの時期に、古典的名著を引用するなどして「まあまあそうあわてなさんな」というアドバイスをしてくれるのであれば多少のお金を払う価値はあるかもしれないと思います。
しかし、「プロの機関投資家と同じレベルの高度な運用戦略」で目のさめるようなリターンが得られることを期待してお金を払うと、肩すかしをくらうような気がします。
株式投資は雲をつかむような謎の営みではなく、過去数百年の歴史があり、先人たちのやけつくような経験があり、スタンダードな方法が確立しており、ずっと受け継がれています。いま新たにアドバイスしてもらわなければ、何をどうしていいのかわからないようなものではありません。
インデックス投資であればなおさらのこと。知見は既に古典的名著の中にあり、読み継がれています。
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