ロシア関連の投資信託の設定・解約停止が相次ぐ
水瀬ケンイチ

ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、ロシア関連の投資信託の設定・解約停止が相次いでいます。売ることもできず身動きが取れない投資家が出てきているとのこと。
ロシアのウクライナ侵攻に対する米欧の経済制裁の影響が国内の個人投資家にも及んでいる。運用会社各社はロシア資産の流動性の低下などを受け、ロシア関連の投資信託の設定と解約を相次いで停止した。すでに投信を保有する投資家は身動きがとれない状況で、実質的に凍結となっている資金は少なくとも249億円に上っている。国内公募の追加型投信(上場投信=ETF、ラップ専用型を除く)のうち、運用資産にロシアの株式や債
上記記事によると、設定と解約の停止を発表した主な投信は以下のとおり。
・日興BRICs株式ファンド
・アムンディ・ロシア東欧株ファンド
・三菱UFJ 米国バンクローンファンド 通貨選択シリーズ<ロシアルーブルコース>(毎月分配型)
・DWS ロシア・ルーブル債券投信(毎月分配型)
・ドイチェ・ロシア東欧株式ファンド
・DWS ロシア・欧州新興国株投信
・HSBC ロシア オープン
・DWS ロシア・ルーブル債券投信(年2回決算型)
・ダイワ・ロシア株ファンド
このうち「アムンディ・ロシア東欧株ファンド」は、昔、私も投資していたことがあり(当時はSG・ロシア東欧株ファンドという名称)、まったく他人事ではありません。
当時はまだ日本に個人が投資できる新興国株式インデックスファンドが存在しておらず、代わりに当時比較的低コストだった中国株ファンドとこのファンドを組み合わせて新興国株式に投資していました。新興国株式インデックスファンドが登場してからは、売却して乗り換えており、現在は保有しておりません。
一般的に新興国株式はリスクが高い(価格変動が大きい)と言われますが、今回のような「カントリーリスク」も大きいことが如実に現れています。
カントリーリスク (英語: country risk) とは、海外投融資や貿易を行う際、対象国の政治・経済・社会環境の変化のために、個別事業相手が持つ商業リスクとは無関係に収益を損なう危険の度合い
(Wikipediaより)
新興国における単一国やエリア限定の投資は、要注意だとあらためて思い知らされます。2018年にはトルコリラの急落を受け、トルコの債券ファンドが解約停止になったのを思い出しました(該当記事)。
ポートフォリオ全体に占める新興国の割合は、ごく一部にとどめておくのが定石です。世界の株式時価総額におけるロシア株式の比率は1%以下。集中投資は禁物です。
ロシアがウクライナ侵攻を停止し、情勢が落ち着くことを祈ります。
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