新入社員の皆さんへ、梅屋敷商店街のランダム・ウォーカーからのメッセージ (2022年版)

水瀬ケンイチ

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新入社員の皆さん、ご就職おめでとうございます!

今年も4月1日になれば、新入社員の入社式が行われることと思います。新型コロナウイルス感染症の影響で、入社式はオンラインだったり、あるいは行われなかったりしたかもしれません。「新しい働き方」の門出に、きっと期待と不安が入り混じっていることでしょう。

「大志を抱け」とか「プロ意識を持て」などという立派なお話は、世の社長さんたちにお任せするとして、ここは、入社20うん年の会社員投信ブロガーが、入社時にこうしておけばよかったなあと思うところを中心に、梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー流のお金のアドバイスをさせていただきたいと思います。

(2008年に書いた記事を2022年版としてアップデートしてお伝えします)

要点は、以下の5点です。

(1) 給与口座はメガバンク&ネット銀行
(2) 財形貯蓄を活用してほったらかし貯蓄
(3) 勉強のための100円積み立て投資
(4) 生命保険はできるだけ入らない
(5) 社内恋愛は控えめに

ひとつずつ、その理由を説明していきますね。


(1) 給与口座はメガバンク&ネット銀行


会社に入ると、何かとお金のやりとりが増えます。学生時代にはあまり使わなかった「振込」を使うことも増えてきます。例えば、家賃や駐車場代の支払い、ネットオークション、親への仕送りなどなど。

「入出金」は無料という銀行は多いですが、「振込」も無料かどうかは今まで以上に大切になってきます。こうした観点からは、個人的には給与口座指定が振り込み無料条件に役に立つメガバンクとネット銀行の組み合わせがよいと思います。

この超低金利時代、一定回数振込無料のアドバンテージは大きいです。住信SBIネット銀行や楽天銀行といったネット銀行も条件付きで振込無料だし金利も高いのでよいと思います。ただし、私も口座を作ってから分かったのですが、ネット銀行は電気・ガス・水道などの公共料金の口座振替や、クレジットカードの引き落とし口座として認められていない場合があると知りました。

また、確定申告の還付(お金が返ってくる)の時に、ネット銀行の口座を指定したら税務署から呼び出され、「ネット銀行には還付できないので普通の銀行にしてください」と断られたことがあります。2011年の東日本大震災の際には、いくつかの銀行で通帳がなくても身分証明ができれば一時的にある程度の引き出しができる措置が取られていました。ただし、そこにネット銀行は含まれていませんでした。

一生付き合うことになるであろうメインバンクです。まずは、今後発生するであろう様々な出来事に対して、なるべく制約が少ない銀行の中から、手数料が安いところをメインバンクにすることをおすすめします。ネット銀行は、サブバンクとして活用すればよいと思います。

ただし、メガバンクの金融商品(投資信託や仕組債など)には、良質でないもの(もっと言ったら詐欺的なもの)が含まれていますので、普通預金・定期預金以外の金融商品には一切手を出さないのが賢い使い方だと思います。

※勤務先やお住まいの場所によっては、地銀や信金が一番便利ということもありますので、ご自身が重視する条件に合わせてよく比較して選んでください。


(2) 財形貯蓄を活用してほったらかし貯蓄


私が「これはやっておいて良かったな」と実感していることのひとつに、「給料天引きの貯金」があります。

社会人になるとなにかとお金がかかります。「お金が余ったら貯金しよう」という考えは、たいてい挫折します。公私ともに忙しくしているうちに、お金はいつの間にかなくなっています。そんな皆さんには、「勝手に貯まる」仕組みが吉だと思います。

勤務先に、財形貯蓄制度があれば、ぜひこれを活用する方がよいと思います。給料天引きだし、住宅財形・年金財形の場合、550万円まで利子が非課税です。(各種条件があります。詳しくは該当金融機関にご確認ください)

現在の日本は超低金利、マイナス金利ですが、今後金利が上昇してくれば、利子非課税のメリットも上昇してくることと思います。会社によっては、財形貯蓄に補助金が何パーセントが付くところもあるようです。そういう場合は、利用しない手はないと思います。

私は入社当時、「財形貯蓄の口座はどこにする?」と聞かれて、「え?え?」と何だかよく分からないうちに会社に勧められるまま、労働金庫に新規口座開設させられてしまいました。労働金庫自体にあまり不満はないのですが、今となっては財形のためだけの口座になってしまい、資産管理が面倒になりました。

皆さんは、給与口座と同じ銀行を指定すると更によいと思います。

※このお話が取材され、日本経済新聞2012年3月28日朝刊に掲載されました(該当記事)。


(3) 勉強のための100円積み立て投資


私はいわゆる「生活防衛資金」をためることがとても重要だ考えています。生活防衛資金とは、様々なトラブルから自分と家族の生活を守るための安全資金です。流動性がもっとも高い預貯金がよいでしょう。

私は生活費の2年分以上(関連記事)がよいと考えて実践しています。人によっては、生活費の半年分とか3か月分とか、いろいろ言われていますが、「ゼロ」でよいという意見は聞いたことがありません。

毎月の給料のなかから(2)の「ほったらかし貯蓄」のしくみで貯金していきましょう。そして、おすすめなのが同時に「100円積み立て投資」も設定してしまうことです。

まともな上司なら、新入社員に「新聞を読め」「ニュースを見ろ」と言うと思います。今はPCやスマホでも読めて便利です。しかし、新聞が大事なのは分かりますが、興味というものは他人に持てと言われてもなかなか持てるものではありません。あくまで自発的なものではないでしょうか。

そこで、毎月100円だけでも、実際に自分のお金で投資することによって、「今日は値上がりしているけど何かあったのかな?」とか「今日値下がりしたのは何故だろう?」といったような疑問が湧き、自然に新聞やニュースに目が向くようになります。たった100円で、値千金の勉強になること請け合いです。

実際の銘柄は、1本で世界中の株式に分散投資できるインデックスファンド「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」などがよいと思います。日本だけでなくグローバルな視点が養われることでしょう。

毎月の投資額を増額したくなることもあるでしょうが、まずは生活防衛資金を貯める方を優先することをおすすめします。目標金額に近づいてきたら、100円積み立て投資を、余剰資金に合わせて1万円、2万円と増やしていくとスムーズです。

地に足をつけた投資をする(そして継続する)ためには、まずは、家計にも心にも余裕を作ることが大切です。


(4) 生命保険はできるだけ入らない


勤務先にもよるでしょうが、春になると、何故か社内にきれいなお姉さんがうろうろしだします。どこから入れてもらっているのか分かりませんが、生命保険会社のセールスレディさんたちです。

ぜひお話したいという男性諸君のお気持ちは、痛いほど分かります。しかし、私と共著で本を執筆した山崎元氏は著書「人生を自由に生きたい人はこれだけ知っていればいい お金で損しないシンプルな真実」のなかで、「①保険にはできるだけ加入しない。②どうしても必要な場合に、最小限の金額と期間で泣く泣く利用する。これが保険との正しい付き合い方の大原則」と指摘しています。

また、「非常に限られたケース、たとえば、頼れる親戚がまったくなく、貯蓄もない夫婦に子どもが生まれたというような場合には、掛け捨ての保険を一定期間利用するのは適切」という程度のことだとも言っています。

言い方はともかく、趣旨には賛成です。私も夫婦共働きで子どもがいないので、生命保険には入っていません。少なくとも、資産運用的観点で考えてみれば、人海戦術で契約獲得活動をしている会社の金融商品(保険)が、コスト的に有利なものであるはずがないと思っています。

家族構成など諸条件を考えて、どうしても生命保険が必要というかたであっても、たまたま会社に来たセールスレディからでなく、比較サイトなどでじっくりとコストなど諸条件を比較して、納得がいくものを自分で選ぶとよいと思います。

私の入社当時、総務部や労働組合のおっちゃんたちに、「生命共済に入れ!うちの社員はみんな入っているぞ」とすごい勢いで勧誘されました。しかし、何故か私はこれには最後まで首を縦に振りませんでした。おそらく、おっちゃんたちの強引さが気に食わなかっただけだったと思うのですが、今にして思えば結果オーライ、賢明な判断だったと思います。

会社の共済などは、一般の生命保険に比べたら安いようですが、いくら安くても、自分にとって不要なものは買うべきではないと思います。

※保険について、私がいまいちばん参考になると思う本は、「いらない保険」(後田亨・永田宏著)です。保険のことについて、たくさんのデータや事実による裏付けがあり、最新の医療事情もふまえてわかりやすく書かれています。(当ブログの書評記事はこちら


(5) 社内恋愛は控えめに


男女ともに、ハイリスクです。
詳しくは……聞かないでください(笑)

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以上、筆者の拙い経験(や苦い思い出)を中心に、梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー流アドバイスを、つらつらと書き連ねてきましたが、新入社員の皆さんの何かのお役に立てば幸いです。

もし、あなたが、「なに言ってんだ、もっといい○○銀行があるだろう!」「いや、生活防衛資金は3か月で十分だ!」というように反論をお持ちになったら、頼もしい限りです。これからの皆さんにとって、他人の意見を鵜呑みにせず、自分の頭で考え行動すること、それが一番大切かもしれません。

これから、大変なこともありますが、楽しいこともきっとたくさんあるはずです。いっしょに頑張りましょう!


※今回のようなライフプランの話は、個人個人の価値観や置かれた環境によって、判断が違って然りです。いち個人投資家の戯言としてご笑覧いただければ幸いです。

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Posted by水瀬ケンイチ