「SBI・V」が「eMAXIS Slim」を追うシリーズに成長
水瀬ケンイチ

モーニングスターによると、大手ネット証券3社の投信積立契約件数ランキング(22年4月)で「SBI・V」が「eMAXIS Slim」を追うインデックスファンドシリーズになってきているとのこと。
たしかに、トップ10に「eMAXIS Slim」シリーズが4本ランクインしているのに対して、「SBI・V」シリーズも3本がランクインしています。全世界株式と米国株式が売れているのも同じ形です。
米国のインデックスファンド(ETF)のシェアを見ていると、上位3社(ブラックロック、バンガード、ステートストリート)で約8割を占める寡占状態が続いています。
インデックスファンド(ETF)はいわゆる「規模の経済」が働くビジネスです。純資産残高が大きくなればなるほど、運用にかかる費用が相対的に小さくなり運用効率が上がります。そして最終的なリターンも相対的に高くなる傾向があります。リターンが高ければ人気も出て、さらに純資産残高は積み上がります。
米国バンガードを視察に行った時に、バンガードではこの良い循環のことを「フライ・ホイール」と呼んでいました。「回し始めは大変だけど、回り始めたらとてもよく回る」とも言っていました。
こうなると、下位の運用会社にはもう逆転するチャンスはありません。
日本でも「eMAXIS Slim」の三菱UFJ国際投信、「SBI・V」のSBIアセットマネジメント、それからとあとひとつニッセイアセットマネジメントか楽天投信あたりが入って、それ以下はもう逆転のチャンスなしという状況になるのかもしれません。
激しいコスト競争に参加しなかったり、コスト引き下げを渋ったりした運用会社のインデックスファンドは、ジリ貧になることがほぼ確定しており、残酷な世界だなと思います。
私たち個人投資家は主要な資産クラスにおいて、十分に低コストで高品質なインデックスファンドが2~3本存在すれば、それでことは足ります。コスト競争を勝ち抜いたインデックスファンドを、ありがたく投資させていただきます。
あとは、それら素晴らしい船に乗り、相場の荒波を渡っていくという仕事を、私たち個人投資家が頑張る番です。航路を守っていきましょう。

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