「為替ヘッジコスト」が大幅上昇中。今後さらに上昇へ?

水瀬ケンイチ

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為替ヘッジありの投信ではドル円などの為替レート変動の影響をほぼなくせますが、「為替ヘッジコスト」がかかります。

コストといっても、運用会社が徴収する手数料のたぐいではないです。基本的には対象となる通貨と円の短期金利の差等を反映したリターンへの影響であり、対象となる通貨の短期金利が円の短期金利を上回ると為替ヘッジコストは大きくなります。

(逆に、対象となる通貨の短期金利の方が低くなれば、為替ヘッジコストがマイナス=リターンが増えることも、なくはないですが…)

その為替ヘッジコストが、足元で大幅上昇しているとのこと。


昨年末に0.33%だった米ドルの為替ヘッジコストは、 足元で1.74%に上昇しています。

ただでさえ期待リターンが低い債券クラスにおいて、為替ヘッジコストで1.74%もリターンを削られてしまうと厳しいと感じます。

その上、この為替ヘッジコストは今後さらに上昇することが見込まれているとのこと。理由は、FRBがインフレ抑制姿勢を強め来年にかけ3%を上回る水準まで政策金利を引き上げると見込まれる一方、日銀は現状の政策金利を維持することが見込まれるため。



一時的な状況かもしれませんが、債券クラスの投信のリターンから3%もリターンを削られてしまえば、ほとんど何も残らないどころか、下手をしたらマイナスリターンになってしまいかねない水準だと私は感じます。

ニュースを眺めていると、良し悪しは別として、世界中の中央銀行の中で日銀だけが独自路線を進めているように見えますので、ありえない話ではないと思います。

私は投資商品に為替ヘッジはかけない(為替リスクは「渋々」受け入れる)方針でずっと運用していますが、為替ヘッジありの投信、特に外国債券インデックスファンド(為替ヘッジあり)を大量に保有しているかたは少し注意した方がよいかもしれません。


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日経電子版に投資信託の為替ヘッジの解説記事が掲載されています。投資信託の為替ヘッジ 差損を回避、費用上乗せも米国など海外の株式で運用する投資信託を購入する人が増えています。海外の資産で運用する投資信託には「為替ヘッジあり」や「なし」と記載されている場合があります。どのような違いがあるのでしょう。Q 為替ヘッジとは何ですか。A 為替相場の影響をヘッジ(回避)することです。例えば、米国の株式で運用する投...

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