厚切りジェイソンさんの投資インタビュー記事が日経電子版に掲載。アグレッシブすぎない!?
水瀬ケンイチ

お笑い芸人で会社役員、そしてインデックス投資家の厚切りジェイソンさんのインタビュー記事が日経電子版に掲載されています。最近の米国株式下落をどのように捉えているのでしょうか。
――初のお金の本『ジェイソン流お金の増やし方』が電子書籍と合わせ43万部を突破したそうですね。ジェイソンさんは主に米国のETF(上場投資信託)「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)」に積立投資されて資産を作ったということですが、投資との出合いは?大学院を出てGEヘルスケアに入った時に、入社手続きの標準制度でインデックス型の投資信託や自社株を買う機会があったのが最初です。当
詳しくは上記コラムをご覧いただきたいのですが、個人的に興味深かったポイントをいくつか抜粋したいと思います。
- 現在の投資法は米国ETFの「VTI」を毎週手動で積み立て
- 投資経験15年間
- 服は買ったことがなく、スーパーでは30kgまとめ買い
- 生活費3カ月分以外は全て投資。それだけあれば次の収入を見つけられる自信があるから
- 最近は収入の95%くらいを投資に
- 一昨日、米国市場が下落してマンション1室分くらいの損が出たが、売らなかったらただの数字
- 米国株の場合は金融ショックがあっても3年くらいで元に戻る
- 米国経済の長期的な成長を信じている。短期では急落することもあるが
すごいですね!! 若くしてFIRE(Financial Independence, Retire Early)達成できたのも頷けます。
特に、最近では収入の95%を投資に回しているというのがすごいと思います。ある意味、ほぼ究極の米国株集中投資です。また、「マンション1室分くらいの損が出たが、売らなかったらただの数字」というコメントも、肝の座った長期投資家らしくてとてもいけてます。
ただ、VTIのみに収入の95%を毎週集中投資というのは、かなりアグレッシブな投資戦略だと思います。この記事を読んでいると、主に過去や将来のリターンを重視しており、リスクがあまり考慮されていないように見えてしまうところは要注意かもしれません。
米国以外の先進国株式や新興国株式、債券への分散投資がまったく考慮されていないこと、毎週投資額を無限に積み上げていくだけだと、いずれ自分と家族(家計)の「リスク許容度」を越えてしまわないか?ということが、老婆心ながら心配になりました。
私は全世界株式と国内債券を組み合わせたポートフォリオで、リスクが自分にとって過大になりすぎないように毎年リバランスしてリスクを管理しながら資産運用しています。想定外の損失で、市場から一発退場になることだけは避けたいと考えているからです。
もしかしたら、厚切りジェイソンさんがアグレッシブに投資できるのは、会社役員の報酬と芸能人としての収入が大きいという特殊事例なのかもしれません。
お金の使い方の部分についても、服は他人からもらうだけで買ったことがないとか、リュックサックでスーパーをハシゴして30kgの買い物とかは、個人的にはあまり真似したくないし、さすがにやり過ぎではという印象。もちろん、ご自身がそれを楽しんでやっているようですので、他人から動向言われるのは大きなお世話だと思います。
ただ、お金の使い方として全員がやるべき一般解かといわれるとそうではないと思います。人生においては、QOL(Quality of Life)の向上も資産形成と同様に大切だと私は思います。
投資成功者の情報は貴重なものではありますが、読者はそれを鵜呑みにするのではなく、自分の役に立ちそうな部分をピックアップしてありがたく参考にさせていただくのが良いとあらためて思いました。

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