日本でもインデックスファンドの残高増加中。市場を歪めるのか?

水瀬ケンイチ

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日本の投資信託の残高に占めるインデックスファンドの割合が増加して25%に迫っているようです。


詳しくは、上記日経記事をご覧いただきたいのですが、アクティブファンドが依然として大半を占めるなか、インデックスファンドの比率はだんだん伸びてきています。

最近は、インデックスファンドの比率上昇がおもしろくない(自社の儲けにつながらない)金融業界などから、インデックスファンドの比率上昇に対して「市場を歪める」とか「銘柄の価格発見機能を損なう」といった批判が出始めています。

“インデックスファンドの父”である故ジョン・ボーグル氏は、インデックスファンドへの批判に対して遺作「航路を守れ」のなかでこう述べています。

投資運用の将来に関心があるなら、機関投資家とその顧客に甚大な影響をもたらし、「幅広く分散された、低コストの株式市場インデックスファンドに投資して保有する」という、一般の人々が投資により資産を蓄積するための唯一にして最善の選択肢を失わせてしまう、このほとんど根拠のない理論と戦うべきである。

資金を運用する会社が、投資家や国民、社会の最善の利益になる判断を行うためには、抽象的な統計証拠や、大雑把な一般論では足りない。結局のところ、パスカルは正しかった。結果は確率に優っていなくてはならない。

(「航路を守れ」ジョン・ボーグル著より)


パスカルとは、主に懐疑論や確率論を重要視した17世紀の哲学者、自然哲学者、物理学者、思想家、数学者、キリスト教神学者、発明家、実業家(出所:Wikipedia)です。

インデックスファンドの残高が伸びることの良し悪しは、イメージではなく数字で議論されるべきものだと、ボーグル氏は言いたかったのだと私は理解しています。

もっとも、日本においては、日銀が金融緩和の一環でアホみたいに爆買いしてきた国内ETFを入れると、インデックス型の比率は跳ね上がると思われます。

もし本当にインデックスファンドが市場を歪めるのだとすれば(仮定の話ですよ)、それは誰が設定して誰が買ったものなのかは、よく考えてほしいものです。


「航路を守れ バンガードとインデックス革命の物語」(ジョン・C・ボーグル著)はもはや投資本というより「良心」を集めた人生訓!

「航路を守れ バンガードとインデックス革命の物語」(ジョン・C・ボーグル著、石塚順子翻訳)を読みました。本書は世界で初めて個人投資家向けのインデックスファンドを発売した米国バンガード・グループの創設者で「インデックス投資の父」といわれるジョン・C・ボーグル氏の最後の著書です。カテゴリとしては投資本になるのかもしれませんが、私は投資本というよりも米国中の「良心」が集まった人生訓だと思いました。全480ペ...

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Posted by水瀬ケンイチ