今度こそ“低コストなアクティブファンド”がインデックスを上回る?
水瀬ケンイチ

超・低コストなアクティブファンド「SOMPO123 先進国株式」が、参考指標のMSCIコクサイをアウトパフォームしているとのこと。
SOMPOアセットマネジメント WEBサイト
2022年07月20日 2022年上期の運用状況
私はかつて“低コストなアクティブファンド”に期待してちょいちょい投資しては裏切られ続けてきました。とはいえ、「SOMPO123 先進国株式」は信託報酬が年0.077%で、年0.1%以下という破格の超・低コストを実現していたことから少し注目していました。
2022年7月9日に開催された「インデックス投資ナイト2022 スピンオフ」でも、出演者のカン・チュンド氏と山崎元氏が「SOMPO123 先進国株式」を意外なほど高く評価していたのが印象に残っています。私も同イベントに出演しましたが、123銘柄という相対的に少ない銘柄数に絞り込む過程で、企業の格付け情報を足切りに使っていることに懸念を表明しました。
よく言われることですが、財務がピカピカの優良企業の株価はなかなか動かないのに対して、ものすごいダメ企業が少しマシなダメ企業に改善した時、株価は大きく跳ね上がることがあります。格付けでダメ企業を足切りすることで、このような株価上昇をも切ってしまうことになり、結局、市場平均に負けてしまうのではないかという懸念です。
実際、イベント当日の直近情報では、設定来で参考指標であるMSCIコクサイに負けているというデータが共有されました。
しかし、上記のレポートによると、「SOMPO123 先進国株式」の2022年上期のパフォーマンスは▲2.34%となり、基準価額は下落したものの、参考指数であるMSCIコクサイの▲4.55%を2.21%アウトパフォームしたようです。
超・低コストなアクティブファンドが、インデックスを上回るのは割と痛快なことです。このままの調子でいってくれるとおもしろいことになりそうです。
かつて一部のアクティブファンド運用会社が、連動する義務も何もない「参考指標」という都合のいい指標を、自ファンドの調子が良い時に「勝った」と宣伝に利用して、調子が悪い時は比較すらしないでスルーというセコい使い方をして、批判されてきました。
「SOMPO123 先進国株式」は、できれば今後調子が良い時も悪い時も、参考指標のMSCIコクサイとの比較を堂々と続けてほしい。まだ半年程度の運用実績ですが、引き続き、注目していこうと思います。
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