「投資信託は買うときにいくらで買えるのかわからないのはなぜか」という問いにちゃんと答えよう
水瀬ケンイチ

Mocha(モカ)に「投資信託は買うときにいくらで買えるのかわからないのはなぜか」という記事が掲載されています。
投資信託は買うときに「いくらで買えるのかわからない」のはなぜか | 資産運用・経済 - Mocha(モカ)
リスクをおさえた投資を考える投資家に人気の投資信託ですが、実は購入の申込みをした時点では、いくらで買えるのかわかりません。それは、投資信託が国内外の株式、債券など複数の投資先を組み合わせた金融商品であることが関係しています。株式や債券は常に値動きをしているので、注文をした時点では投資信託の売買価格が決まっていないからです。詳しくみていきましょう。
詳しくは上記記事をご覧いただきたいのですが、投資信託は買うときにいくらで買えるのかわからないのは、注文した時点では投資信託の売買価格が決まっていないからとのこと。
……進次郎構文かな?
やっぱ天才なんかな pic.twitter.com/nCRPmu7Onc
— IFDOCO (@IFD__OCO) April 30, 2022
上記記事では、投資信託の基準価額が決まるのは申し込みのあと、その日の取引を締めきって終値が出てからの計算だから、申し込みの時点ではいくらで買えるのかがわからないのだと説明しています。
だから、それが「なぜ」なのかを聞いているのでは。
ふつう、人が物やサービスを買う時には、価格を見て買うか買わないかを判断します。それなのに、投資信託に限っては、価格が決まってないのに買うか買わないかを判断しなくてはいけない。この購入判断と価格決定の順序が逆なのは一体なぜなのか?という問いに、上記記事はまったく答えていないように思います。
質問を投資信託の場合にあてはめてもうすこし具体的にすると、「基準価額が決まったあとに申し込みできないのはなぜか」と言い換えることができて、すこしはわかりやすいかと思います。これに、私なりに回答すると以下のとおり。
Q.基準価額が決まったあとに申し込みできないのはなぜか。
(≒投資信託は買うときにいくらで買えるのかわからないのはなぜか)
A.基準価額が決まったあとに新規申し込みができると、既存の投資信託保有者の利益が阻害されるため。
1日1回しか値が付かない投資信託の基準価額が決まったあとにその価格で新規申し込みができると、新規申し込み者は常に後出しジャンケンできることになります。すると、どういうことが起こるか。購入価格は確定しているのですから、新規申し込み者はその後の相場を見て、もし上昇していれば割安に買えるチャンスだと喜んで買い、下落していれば割高になるので購入など見送ります。
それだけ見ると良いような気もしますが、新規購入者が後出しジャンケンで割安に購入した差分を誰が負担するかとなると、金融機関が補填してくれるわけなどなく、投資信託の純資産額(=既存の投資信託保有者の資産)からということになり、そこに投資家間の大きな不公平が発生してしまいます。
既存の投資信託保有者の利益が阻害されるのを防ぎ、投資家間の平等を確保するため、投資信託は買うときにいくらで買えるのかわからない(基準価額が決まったあとに申し込みできない)ようになっています。これを「ブラインド方式」といって、投資信託共通の仕組みとなっています。
なお、投資信託を証券取引所に上場して、リアルタイムに値付けして取引を行えるようにしたものが、皆さんご存知のETF(上場投資信託)です。売買時に価格が決まっていないとどうしても気持ちが悪いというかたは、ETFにすればスッキリすると思います。
そういう回答なんじゃないんですか?モカさん。
参考
ブラインド方式 / 投資信託協会
ブラインド方式 / 大和アセットマネジメント株式会社
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