下げ相場でも、20年先の未来に目を向けて今できることに着手しておく
水瀬ケンイチ

PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)に「つみたてNISA」をすすめる記事が掲載されています。
日本人はもう年金だけでは暮らせない…投資の経験のない人ほど「つみたてNISA」を急ぐべき理由 54%の人が「制度内容が分からない」と回答
8月末、金融庁は「令和5(2023)年度税制改正要望について」を公表した。その中で最初に記載されたのが、“少額投資非課税制度(NISA)”の改善要望だ。それはNISAの利用者であるわたしたちにとって非常に大きな意…
詳しくは上記記事をご覧いただきたいのですが、制度が複雑で教育も充実していないが、世界経済のダイナミズムをより効率的に享受し、長期の視点で資金を運用することが必要とのこと。
昨年までの上げ相場で右を向いても左を向いても「つみたてNISAやれ」というメディアばかりの時期から、下げ相場になりずいぶんトーンが落ちてきています。しかし、つみたてNISAの有効性は変わっていないと思います。
むしろ、これから投資をはじめるかたにとっては、下げ相場で積み立てをはじめることは悪いタイミングではないと思います。積み立てるそばから評価額が下がるものの、口数はよりたくさん買えることを体感できるからです。
また、長期的な投資でリターンを得るためには、相応のリスクを引き受けなければなりません。たとえば、期待リターン年+5%に対してふつうに上下20%程度ブレる水準のリスクです(暴落時にはこの2倍はブレます)。これを頭だけでなく体感しておくことは大きな意義があると思います。
長年積み立て投資を継続していれば、下げ相場に直面することがほぼ必ずあります。下げ相場を早めに体験しておくことは、今後、投資を継続する上で貴重な経験となるでしょう。上げ相場しか経験したことがないまま、ある程度の資産規模になってしまったかたは、いま精神的に苦しい状況にあるかもしれません。
いずれにしても「継続は力なり」です。特に、積み立て投資の場合は、複利効果は投資元本が積み上がった投資期間の「終盤」に効いてくるもの。その過程では、下げ相場でも粛々と積み立て続けることを避けては通れません。積み立て投資家の誰もが通る道といってもいいでしょう(もちろん私も通りました)。
人生の時間は有限です。若い方にとっても天文学的な時間があるわけではありません。最近の下げ相場で「つみたてNISA」をすすめる人が減ってきたから今はやめておこうと考えるのではなく、20年以上先の未来に目を向けて、今できることに早めに着手しておこうと考えた方がよいと思います。
少なくとも私は今まで同様、これからも積み立て投資を続けていくつもりです。
※言わずもがなですが、投資判断は自己責任でお願いします。
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