やっぱり米国株が最強なの?
水瀬ケンイチ

日経電子版に米国株最強説をデータで点検する記事が掲載されていました。これは興味深いです。
ハナ 少額投資非課税制度(NISA)の拡充が話題ね。友達も海外株に投資したくて、つみたてNISAの口座を開いたんだけど、具体的な投資対象選びに迷ってる。「やっぱり米国株が最強なの?」って聞かれたわ。楽天証券もSBI証券も、9月の積み立て設定件数のランキングの一位は米国株連動投信だったらしい。岡根 何が最強かは時期による。グラフAでは代表的な株価指数であるMSCIで全世界株指数の算出が始まった1
詳しくは上記記事をご覧いただきたいのですが、無理やりまとめると、最近投資を始めた若年層は、過去10年くらいの米国株が好調だった記憶だけがあるので米国株に集中したくなるのだろうが、より長期の成績も知った上で判断した方がよいという内容でした。
上記グラフの米国株、全世界株、新興国株の株価推移を見れば、過去10年くらいは米国株がダントツにリターンがよかったことがわかります。
ただ、もっと過去のグラフを見ればわかるように、私がインデックス投資をはじめた2002年頃は、米国株はITバブル崩壊の余波で全然ぱっとしませんでしたし、2012年くらいまでは、新興国の方がリターンが高かった。
その頃の印象が私の頭には残っているからか、最近の米国株最強説には少々違和感を感じてしまいます。
米国株のリターンが高いのは昔からずっとそうだったのではなく「時期による」ということだと思います。まあ、新興国も新興国で2012年以降はぱっとしない展開が続いているので、こちらも「時期による」ということだと思います。
米国株への集中投資を推奨する人が、米国は基軸通貨を持っているとか、人口が増加しているとか、イノベーションが起きやすいなど、米国の強みを語るのを見るにつけ、「それは20年前からずっと同じなんだけどなあ」と思いながら、過去の米国株のぱっとしない時期を思い出したりします。
上記記事では、「投資の大原則は分散。全世界株指数は多くの時期で米国株と新興国株の中間的な成績になっている。この指数であれば米国株比率も65%なので、引き続き米国株が堅調でも恩恵を受けられる」と述べています。全世界株への投資を基本としているようです。私自身の考え方に近いです。
一方で、「ただしこうした過去のデータも頭に入れたうえで、米国企業の強さをやはり重視したいと思うなら、米国株の連動投信を買うのも選択肢だ」とも述べており、米国株について特別強い相場見通しを持っているのであればよいといったところ。
もちろん、私も全世界株を通じて米国株に大きな割合で投資しているので米国株が上がってくれるとうれしいのですが、将来のことはわかりませんので、全世界に投資しておきたいと考えています。
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