就職氷河期の困難な体験と、その後の人生で役に立ったこと
水瀬ケンイチ

就職氷河期世代の困難な体験について書かれた記事が現代ビジネスに掲載されています。
詳しくは上記記事をご覧いただきたいのですが、記事筆者の「興味のあった企業100社以上にかたっぱしからエントリーシートを送り、少なくとも50社以上の試験や面接を受けた」というコメントと同じような体験を私自身もしています。
私も就職活動の時は、300社以上に資料請求して50社以上の試験や面接を受けました。それでも全然内定を取れず毎日絶望していました。
企業にとっては、いわゆる「買い手市場」であり、採用担当者は横柄な態度が多く、学生は掃いて捨てるほどいる存在で雑に扱われている印象でした。コンプライアンスもゆるかった時代であり、学生相手に「圧迫面接」という高圧的面接を行う企業がたくさんありました。
人格を否定するかのような罵詈雑言をぶつけられたり、大声を出されたり、嘲笑されたりと、企業側の酷い対応を何度も受けてきました。
そのなかには、最終面談で「来年から一緒に働こう」と握手までされたのに、それ以降音沙汰なしという企業もありました。当時それは内々定のサインだと言われていましたが、しれっとスルーされました。
ようやく内定をもらった企業も、大学OBがいたので話を聞きに行ったところ、「ブラック企業だからやめた方がいい。同期は10数人いたがもう自分しか残っていないし、実はもうすぐ転職する予定だ」と打ち明けられました。
幸いにも私は別の企業に就職することができましたが、最後までどうなるかわからずギリギリだったと思います。なにかの運がひとつでもかみあわなければ、就職できなかったのではないかと今でも思います。世の中には、就職できなかったかたや、もっと苦労されたかたもたくさんいたと思います。
就職活動の時は本当に苦しかったので、酷い扱いを受けた企業のことは今でも記憶しています。その後、その企業の商品・サービスは絶対に利用しないと決めています。仕事上付き合わざるをえない時には、人を雑に扱う企業風土の相手なのだという前提で、最大限の警戒をして臨んでいます。
あれだけ酷い目にあった就職氷河期でしたが、一方で、社会や企業は氷河期世代を助けてくれないので、自分のことは自分でなんとかしなければならないという強烈な「自己責任」感を植え付けられたのは、後の人生におおいに役に立ちました。
自分の人生は自分でなんとかするしかない。おかげさまで、投資における自己責任も、フェアな分むしろ心地よいくらいです。
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