金融所得課税は増税するべきではない
水瀬ケンイチ

「金融所得課税は引き上げるべきか?」という記事が幻冬舎ゴールドオンラインに掲載されています。私は増税するべきではないと思います。
詳しくは上記記事をご覧いただきたいのですが、「お金持ち優遇」という批判から度々話題にあがる金融所得課税の増税について、私が興味深いと思った一文があったので取り上げます。
年収1億円以上のお金持ちというのは、2万人程度しかいません。仮に増税するとなれば、2万人から多く税金を取るために、何千万人ものお金持ちでない一般人が増税されてしまうことになります。
(岸田政権でも議論を呼ぶ…「金融所得課税」は引き上げるべきか? | 幻冬舎ゴールドオンラインより)
そう。世の中で言われているほど本当のお金持ちの数は多くなく、お金持ちから税金をふんだくってやれという感情論で金融所得課税を増税すると、私たちは自分で自分の首を締めることになってしまうのです。
いまや、投資信託を通じて「100円」から世界中の株式や債券に投資できる環境が整っています。多くの個人が投資をしています。投資は個人の資産形成の大切な手段のひとつとなっています。これから始めようと考えている人もいるでしょう。
国も「貯蓄から投資へ」(このフレーズは手垢がつきまくっていてあまり好きではありませんが…)の掛け声で個人の投資を促進して、これからもっと個人投資家を増やそうとしている時代です。
いまは投資をしていない人であっても、人生100年時代といわれる今の世の中で100円から投資できるのですから、今後投資を始めることになるかもしれません。
また、一度上がった税金が下がることは稀です。子どもたちが将来投資を始めようとした時に、税金が重くのしかかることになります。あまり将来世代の選択肢を狭めない方がいい。
「株をやっているのは一部のお金持ちだけ」という古くさいイメージだけで国民が安易に増税を認めると、財務省は「我が意を得たり」とノリノリで増税してきます。その結果どうなるか。投資資金が引き上げられて株価は下落し、企業が資金調達しづらくなります。景気は悪化し、ゆくゆくは投資をしていない人の首まで締めることになります。
税収の全体像を見ても、日本の税収は2021年度に67兆378億円と「過去最高」を更新し、2022年度も68兆3500億円と「過去最高」をさらに更新する見込みです(出所:22年度税収が過去最高68兆円超に、2次補正で3.1兆円増額=政府筋 | ロイター)。今はどんな形であれ増税する必要などないはずです。
そもそも、増税を喜ぶのはほぼ財務省だけです。国民が増税を望んでいるかのような話自体、何かおかしいと思いませんか。
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