NISA年間投資枠360万円に拡大、非課税のままスイッチングも可能に?
水瀬ケンイチ

日本経済新聞のNISA拡充報道に、NISA年間投資枠360万円に拡大、非課税のままスイッチングも可能と思われるような内容がありました。
別のメディアでは「つみたてNISA」と「一般NISA」を一体化するという報道もあったのですが、昨日の記事「つみたてNISA」の年間投資枠を現行の3倍の120万円に、「一般NISA」を2倍の240万円に!?で取り上げたように、両方の制度が残るという内容と辻褄が合っていませんでした。
年間投資枠が360万円に拡大するという情報が正しいのであれば、「つみたてNISA」と「一般NISA」の両方の制度が残ると考えられます(ネーミングは別として)。
さっそく「年間360万円も投資できないよ!」という声が聞こえてきていますが、非課税期間が恒久化されるのであれば、べつに毎年非課税枠をギリギリまで使う必要はありません。何十年かけてでもゆっくりとできる範囲で運用資産を積み上げていけばいいだけです。
長い人生においては、結婚、出産、子育て、住宅の購入、親の介護など、お金が必要なさまざまなイベントが起こりえます。新規の投資資金を投入できる時とそうでない時があるでしょう。使う使わないは別として、非課税枠は大きく自由であるに越したことはありません。
また、今まであまり取り上げられてませんでしたが、日経新聞の記事には「生涯枠は買い付け残高で管理する。途中で売却して枠に余裕ができれば、その分はまた投資できる」という記述がありました。
もしこの情報が正しいのであれば、いわゆる「スイッチング」(銘柄の買い替え)が非課税のままできるということです。
非課税期間が無期限となれば、長期で非課税運用ができる環境となります。今後数十年の運用を考えると、加齢とともに資産配分を保守的に変えていく「リアロケーション」が必要になるケースも出てくると思います。具体的には、株式クラスの比率を下げて債券クラスの比率を上げるなどです。
その際に、ファンドを売却すると非課税枠から外れてしまう問題があったのですが、これが非課税のままできるとなれば、リアロケーション時の心配ごとはなくなります。
「より多くの国民に積立・分散投資による安定的な資産形成を促す」(NISAとは? : 金融庁より)という制度の趣旨に沿った運用を、よりやりやすくなると考えられます。
金融庁が警戒している金融機関による回転売買の勧奨や、制度の趣旨と異なる短期トレーディングを非課税枠で行えないようにするために、スイッチングには年間の回数制限などが設けられる可能性がありますが、長期的な積立・分散投資を行うのであればあまり問題にはならないでしょう。
非課税期間の恒久化や非課税枠の拡大は大歓迎ですし、投資経験者だけでなく、未経験者が「よし、やってみよう」と思えるようなわかりやすい制度になるといいなと思います。
まだ確定情報ではありません。公式発表を待ちたいと思います。
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