【先進国株式】低コストインデックスファンド徹底比較(22年12月末)
水瀬ケンイチ
「低コストインデックスファンド徹底比較」シリーズ記事として、先進国株式クラスの主要なインデックスファンドについて、2022年12月末で比較しました。
※当シリーズ記事の説明書きとして、まずは『新シリーズ!「低コストインデックスファンド徹底比較」開始。まずは説明書き』をぜひご覧ください。
それではどうぞ。

先進国株式クラスの比較対象インデックスは、「MSCI コクサイ・インデックス」。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどの先進国企業の株式(日本除く)に分散投資するインデックスです。
世界の株式時価総額における先進国株式クラスの比率は、実に8割を占めます。その先進国株式クラスの中でアメリカが7割を占めます。まさに世界の株式市場の中心です。残り3割がヨーロッパなどです。
株式投資の中心たる先進国株式クラスのインデックスファンドは、保有期間中ずっとかかる信託報酬が年率 0.1% 台まで下がっています。海外ETFとほぼ遜色ないコスト水準といって良いでしょう。それでいて、100円から投資できたり、分配金再投資が自動でできたり、自動積み立てができたりといった(海外ETFにはない)「投資信託の良さ」を備えています。ありがたや、ありがたや。
比較の結果、今回は「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」(運用会社:三菱UFJ国際投信)が信託報酬年0.0996%、実質コストが年0.1430%、3年リターンが年率 +12.57%、5年リターンが年率 +10.35%と相対的に高評価でした。
「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」の信託報酬は、純資産残高500億円まで年0.1023%、500億円を超えた部分は年0.1006%、1000億円を超えた部分は年0.0989%と下がっていく「受益者還元型信託報酬」が発動してどんどん下がってきています。2022年12月末現在、純資産残高3802億円になっており、当ブログ記事では信託報酬を加重平均して年0.0996%と表示しています。
その結果、信託報酬の安さで頭ひとつ抜きん出て、クラス最安値となっています。今後も、純資産残高の増加に応じて、信託報酬が 年率 0.0989% にだんだん近づいていくことが予想されます。
eMAXIS Slim 先進国株式インデックスもそうですが、配当込みインデックス連動で、インデックスとの差異がプラスに出ていることを不思議に思う方もいらっしゃるようです。たしかに、インデックスファンドの運用はインデックスから運用コストぶん下回るのがふつうです。
三菱UFJ国際投信のブロガーミーティングでは、インデックスファンドの運用がインデックスを上振れする要因として、指数の税率(例 米国30%)とファンドの税率(例 米国10%)が違うこと、貸株の活用による収入があるとのこと(該当記事)。純資産残高が大きなファンドがますます有利になりそうです。
他に気になるファンドとして「iシェアーズ 先進国株式インデックス」の1年リターン(だけ)が異様に高くなっています。マザーファンドが複数のETFの合成だからか、あるいは、直近の運用レポート(月報)を確認したところ、2022年8月2日にベンチマークを「MSCIコクサイ指数(円換算ベース)」から「MSCIコクサイ指数(税引後配当込み、国内投信用、円建て)」に変更した影響なのか。
次の決算で運用報告書が出たら配当「込み」インデックス連動インデックスファンドの欄に移動させようと思いますが、それでなぜ1年リターンが上がっているのかは不明。気になるので、引き続きウォッチしたいと思います。
原資産である企業の株式から配当が出てくるにもかかわらずベンチマークに「配当除く」インデックスが設定されているインデックスファンドが表下部にまとめてあります。これらはインデックスとの差異が大きく、インデックスとの連動を目指すインデックスファンドとして馴染まないため評価を下げています。
なお、「野村スリーゼロ先進国株式」(運用会社:野村アセットマネジメント)の信託報酬が年0%ですが、これは期間限定であり、将来(2031年から)信託報酬が値上げされる設計になっているため、バイ&ホールドを目指すインデックス投資の対象ファンドとしては「参考」扱いとしています。古くから積み立て投資をやっている投信ブロガーとして、含み益が積み上がった後で高コストファンドを売るに売れなくなるつらさは身にしみてわかっているつもりです。
いろいろありますが結論。
先進国株式クラスの主要なインデックスファンドについて、2022年12月末で比較した結果、「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」が相対的に高評価でした。
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<ご参考1>
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<ご参考2>
本ブログ記事は、私が過去に執筆・監修した書籍に掲載したおすすめインデックスファンド情報のアップデート版という意味もあります。今後も定期的に継続していく所存です。
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