「積立投資は定期預金感覚」の失敗例から学べること
水瀬ケンイチ

ファイナンシャルフィールドに、「積立投資の落とし穴。『精神的負担』で断念した30代会社員の葛藤」という記事が掲載されています。
詳しくは上記記事をご覧いただきたいのですが、主旨をむりやりまとめると、定期預金感覚で積立投資を始めたら、頭で分かっていても、精神的な不安で心がもたなかったという30代会社員の失敗例です。
ポイントは「頭ではわかっていても」という部分だと思います。積立投資のメリット・デメリットを理解しているつもりになっていても、「定期預金感覚」という態度だったのであれば、ほんとうは頭でも理解できていなかったことが疑われます。
メリットとデメリットの話でいえば、メリットの話ばかり知識があり、デメリットの知識が相対的に乏しいという状態。リターンとリスクの話でいえば、リターンの話ばかり知識があり、リスクの知識が相対的に乏しいという状態であったこと想定されます。
例えば、株式インデックスの一般的な期待リターンは年5%程度という小ささなのに対して、リスク(ボラティリティ)は年20%と大きい。当然短期ではマイナスになる確率も高い(1年でプラス25%~マイナス15%の間になる確率68%)。ハイテク企業やIT関連の企業など新興企業が占める割合が高い「ナスダック100指数」のリスク(ボラティリティ)はさらに大きい。
この知識がありながら、定期預金感覚で積立投資できる人はそうそういないと思います。
ちなみに、私はポートフォリオの70%を株式、30%を債券にしてリスクを抑えた運用をしていますが、積立投資を定期預金だと感じたことは一度もありません。しいて感覚をいえば、毎月少しずつ海にボートでこぎ出していく感覚です。海なので波が荒れ狂う日もあればなぎの日もある。そんな感じ。
「積立投資は貯金感覚」というのは上げ相場の時に、調子に乗った投資家の間でよく見られる言葉です。いざ下げ相場が来るとまったく見かけなくなる言葉でもあります。ブログやSNSで長く投資家たちを見ていると、毎度毎度これをくり返しているように私には見えます。
「積立投資は定期預金感覚」の失敗例から学べること、それは貯金は貯金の感覚で、積立投資は積立投資の感覚でやること。当たり前のことのようですが、相場に惑わされて混同しないようにしたいものです。
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