つみたてNISA開始前後の投信コスト革命が、個人の資産運用の大きな分岐点
水瀬ケンイチ

日本経済新聞に「つみたてNISAの投信コスト革命 歓迎した若い投資家」という記事が掲載されています。
詳しくは上記記事をご覧いただきたいのですが、無理やり主旨をまとめると、2018年開始の「つみたてNISA」が日本の投信業界にコスト革命をもたらすとともに、若い投資家の投信選びも低コストのインデックス投信志向に変容させてきたとのこと。
本当につみたてNISAさまさまです。2018年前後に一気に投信の低コスト化が進みましたからね。三菱UFJ国際投信のeMAXIS SlimシリーズやSBIアセットマネジメントの雪だるまシリーズが設定されたのもこの頃です。既存のニッセイアセットマネジメントの購入・換金手数料なしシリーズも積極的に運用コスト引き下げをしてくれました。
投信の平均信託報酬は、残高加重平均すると2016年の年0.65%から2022年には年0.33%に半減しました。現在の主力は、年0.1~0.2%程度のインデックス投信です。
低コスト化で、金融業界の採算悪化を不安視する声が、なぜか利用者である投資家からも多く聞かれます。しかし、記事では投信の収益は「信託報酬率×残高×保有期間」であり、低コスト化の動きはもはや不可逆的なので、残高と保有期間の拡大で補うことを考えるしかないと指摘しています。
2024年から、非課税期間が「無期限」の新しいNISA制度が始まります。つみたて投資家が増えて、投信の保有期間も長くなっていくと思われます。
将来はインデックス投資先進国の米国と同じように、日本でも各資産クラスごとに3~4社の超低コスト投信がシェアを寡占するようになると私は予想しています。
2018年のつみたてNISA開始前後の投信コスト革命が、将来時点からふり返ると、金融業界と個人の資産運用の大きな分岐点になったかもしれません。
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