人口減でも株価が上昇する要因について真正面から取り上げた良記事!
水瀬ケンイチ

日本経済新聞に「恒久NISAで長期投資 低成長・人口減でも果実生むか」というたいへん興味深い記事が掲載されています。
有料記事ですが、無料会員登録すれば月3本まで無料で読めるので、インデックス投資家は会員登録をしてでも読む価値があると思います。
詳しくは上記記事をご覧いただきたいのですが、主旨をむりやりまとめると以下のとおりです。
- 低成長・人口減でも株価は上がる
- 「人口減と株価は直結しない」「人口減でも1人当たりGDPが上昇すれば、株式価値も上昇する」(日興アセットマネジメントの神山直樹氏)
- 先進国の労働人口は減っているのに株価(MSCIワールド)は上昇傾向が続いている
- 「経済成長は人口だけで決まるのではなく、生産性の改善に強く影響される」「よりよい生活や社会を目指す人々の意思がある限り生産性の向上は続く」「減益であっても黒字でさえあれば株主のものである純資産は積み上がっていく」(マネックス証券の広木隆氏)
- 「ファイナンスの理論上、株式のリターンの源泉は将来の価格が不確かなものに投資をすることに対するリスクプレミアムにある」「そこには人口減という要素は無関係で、株式のリターンが将来落ち続けるのは考えづらい」(広木氏)
- インデックスは新たにその時々の成長企業を組み入れたり構成比が高まったりし、衰退企業は組み入れから外れたり構成比が下がったりする。つまり「インデックスには成長を取り込み続けるメカニズムがある」(神山氏)
- インデックス投資の有効性は人口減でも変わらないだろう
長期投資家であれば、株価が上がる根本理由について、本当はとことん考える必要があるのだと思います。
ところが、今まで何百冊もの投資本を読んできましたが、このテーマについて真正面から解説した情報は、あまりお目にかかったことがありません。投資本の著者たちも、皆わかっているようでわかっていない人が多いのか、せいぜい過去のリターン実績グラフを見せる程度でお茶を濁して「とにかく株価は上がる」と話を逸らすのです。
上記記事は、人口減でも株価が上昇すると考えられる要因について、生産性向上、純資産の積み上がり、そしてリスク・プレミアムの存在という複数要因を明記しています。
こうして文字にして見ると当たり前のことだと思われますでしょうか。でも、ためしに人口減でも株価が上昇する理由をネットで調べてみてください。まともな情報はほとんど出てきませんから。まさに値千金の情報だと私は思います。
おまけに、インデックス投資の有効性も変わらないといううれしい付加情報まで説明してあり、インデックス投資家にとっては特にありがたい記事となっていました。私はこの記事内容を Evernote にしっかり記録しました。
くりかえしになりますが、インデックス投資家は無料会員登録をしてでも、ぜひ上記記事を読んでいただきたいと思います。きっと、バイ&ホールドの「握力」強化になるはずです。
▼山崎元氏との共著「全面改訂第3版 ほったらかし投資術」もこのテーマから逃げずに真正面から解説しています。ご興味があればどうぞ。
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