万が一の備え、日本投資者保護基金について知っておこう
水瀬ケンイチ

「東証マネ部!」に日本投資者保護基金についての情報が掲載されています。
証券会社は法律で「分別管理」が義務づけられており、仮に破綻したとしても顧客の資産は全額返還されることが前提となっています。しかも、万が一、何らかの事情で返還されない場合にも、日本投資者保護基金が1000万円まで補償してくれるしくみがあります。
何らかの理由って何だよ?と思われかもしれません。上記記事では、株式の持ち逃げや粉飾決算を行って顧客資産を流用するといった悪意のある行為を行ったケース、信託銀行への信託が間に合わないケース、返還までに時間がかかるといったケースが示されています。
実際に、日本投資者保護基金が補償した事例が過去に2件あり、いずれも、株式の持ち逃げや粉飾決算を行って顧客資産を流用するといった悪意のある行為を行ったケースとのこと。
ただし、どんな金融商品でも補償されるわけではなく、補償される商品と補償されない商品について、以下のとおり例示がありましたので記録しておきます。
●補償対象になる取引(主なもの)
・株式(海外で発行されたものを含む)
・公社債(海外で発行されたものを含む)
・投資信託(海外で発行されたものを含む)
・株式の信用取引にかかる委託保証金または委託保証金代用有価証券
・国内取引所の有価証券先物取引や有価証券オプション取引にかかる取引証拠金または取引証拠金代用有価証券
・国内取引所の株価指数証拠金取引にかかる取引証拠金または取引証拠金代用有価証券
●補償対象にならない取引(主なもの)
・有価証券店頭デリバティブ取引(有価証券先物、オプション、CFD取引を取引所市場外であって相対で行う取引)
・海外取引所の有価証券市場デリバティブ取引(外国の取引所で行われる有価証券先物、オプション、CFD取引)
・取引所の通貨関連取引(東京金融取引所の「くりっく365取引」など)
・外国為替証拠金取引(FX取引)
(投資未経験者も知っておきたい「投資者保護」の仕組み | 東証マネ部!より引用)
投資の王道である株式や債券や投資信託であれば日本投資者保護基金の補償対象となっていますが、店頭CFDやFXを利用しているかたは、補償対象外であることに少し留意した方がよいでしょう。
世の中には1000万円以上の金額を運用している人もたくさんいて、そのような人たちからすれば補償が不十分だと思われるかもしれません。くりかえしになりますが、証券会社は法律で「分別管理」が義務づけられており、仮に破綻したとしても顧客の資産は全額返還されることが前提なので、日本投資者保護基金が補償するような事態は相当なレアケースです。
たとえレアケースであったとしても、証券各社が負担金を拠出しあって投資家を保護しようと備えている「姿勢」が個人投資家からの信頼につながっているのだと私は肯定的に捉えています。
個人投資家としては投資家保護のしくみがないマニアックな金融商品ではなく、セーフティーネットが整備されている王道の金融商品で安心して資産運用したいものですね。
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