悪質な投資詐欺から自分を守る「ものさし」がある
水瀬ケンイチ

20~30代をターゲットにした悪質な投資詐欺が相次いでいるとのことです。注意しましょう。
上記記事で取り上げられていた最近目立つ投資詐欺の手口は以下の2パターンです。
①高利回りファンド(モノなしマルチ商法)
SNSで「月利◎%」などと出資者を募集 → 実際は運用せず、新たに集めた資金を「配当」として支払い → 「1人誘うごとに配当が増える」と持ちかけ → 契約者が知人を勧誘
②外国為替証拠金取引(FX)取引関連
SNSで「自動売買ソフト」やFXアプリの利用を持ちかけ → 海外口座開設・入金を指示 → 架空の運用益を示し追加入金を指示
投資詐欺と聞くと高齢者のイメージがいまだ強いが、SNSで知らない人との交流に抵抗が少ない若者こそ被害に遭いやすいとのこと。実際に、警視庁の利殖勧誘相談は、20~30代の比率が直近5年で倍増しています。意外にも60代以上の比率は半減しています。やはり若者が狙われているようです。
記事では「投資詐欺にあわないためのポイント」が5点掲載されていたので、引用させていただきます。
(Z世代狙う投資詐欺 「FIRE」「億り人」が売り文句 - 日本経済新聞より)
- 「必ず儲かる」「月利◎%」といった勧誘に注意
- SNSや投資セミナーの成功談、情報商材をうのみにしない
- 友人からの勧誘でも冷静に判断
- 金融庁のホームページで登録業者を確認
- 警察の相談専用電話「#9110」などに早めに相談
当ブログでも投資詐欺とその対策については何度も取り上げてきましたが、上記のポイントに加えて、当ブログをご覧の皆さまにいちばん効くと考えているのは、これです。
「平均的なインデックス投資のリターン水準を知っておく」
株式の市場平均であるインデックスは、ざっくり言って期待リターンは年率5%程度しかありません。しかも、その期待リターンを得るためには、ざっくり言ってリスク(標準偏差)15%を引き受ける必要があります。これが投資判断をする際の「ものさし」になってくれます。
上記記事でもFPのかたが「金融知識が乏しい若年層は投資リターンの水準感をおさえてほしい」と言っていますが、老若男女関係なく、投資判断の際には大事なことだと思います。
実例でお話しします。
詐欺の疑いで社長ら男女8人が逮捕された投資関連会社「フリッチクエスト」は、「月利4%」の配当を長期にわたって受け取れるとうたっていました。月利4%は年利になおすと単利で48%、複利で約60%となります。年利48%とか60%もの高リターンが本当に期待できるのか。百歩譲って期待できるとしても、その裏にはどれだけ高いリスクが隠れているのか。
年利5%程度という平均的なインデックス投資のリターン水準を知っていれば、年利60%はありえないと判断することがきると思います。
なお、逮捕されたフリッチクエスト社長はNewsweek日本版に「CHALLENGER」として大きく取り上げられたり(載せたNewsweekもどうかと思うが)、会合に芸能人を呼んだりして、派手に活躍しているように見えたそうです。
平均的なインデックス投資のリターン水準を知っておき、投資判断はイメージや雰囲気ではなく、中身を数字で把握して判断したいものです。一人でも多くのかたが、詐欺や悪徳金融商品から身を守ることができれば幸いです。
▼2023年の記事(フリッチクエストの詐欺)
▼2019年の記事(仮想通貨の悪質業者)
▼2016年の記事(高齢者に対する「合法的詐欺」)
▼2012年の記事(AIJ投資顧問の詐欺)
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