株式投信のベンチマーク配当込み・除く問題が日経新聞に取り上げられている!

水瀬ケンイチ

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日本経済新聞に株式投信のベンチマーク配当込み・除く問題に関する記事が掲載されています。


詳しくは上記記事をご覧いただきたいのですが、以下の一節が要旨になっていると思います。

投信は配当抜きと配当込みのどちらを比較対象とすべきか。投信には組み入れ銘柄の配当金も入ってくるので株価変動と合わせた資産の総合的な変動率が運用成績の計算のもとになる。このため当然「比較対象は配当込みであるべきだ」。

投資信託「好成績」うのみ禁物 配当込み指数で実力確認 - 日本経済新聞より)


株式は実際には配当が出る資産クラスなので、配当を除くベンチマークは実際の実績よりも低く算出されます。これを上回ったかどうかで投信が評価されるのは、金融機関側に有利、投資家側に不利です。

本当は配当込みベンチマークを下回っているのに、配当除くベンチマークを上回ったことをもって「ベンチマークを上回った優秀なファンド」「インデックスに勝ったファンド」というセールストークが成立してしまいます。細かい部分を省略すればいちおう嘘ではないところが余計にたちが悪い。

QUICK投信分析評価サービスのデータによると、ベンチマークがある日本株投信のうち「アクティブ型では57%、インデックス型では62%が配当抜きの指数を使っている」とのこと。日本株投信の5~6割の投信が「ゲタを履いている」と言えるでしょう。

上記記事では、金融庁がこうした状況を問題視し、資産運用業界に関する「プログレスレポート2022」で「多くの投信のベンチマークは配当抜き指数を採用しており、合理的な比較が行われていない」といった指摘をしている、とあります。

ちなみに、当ブログでは少なくとも2015年には、この株式投信のベンチマーク配当込み・除く問題を問題提起しており、以降のインデックスファンド比較記事では、評価対象銘柄をベンチマーク「配当込み」のものと「配当除く」のものに分けて(別の表にして)評価しています。

ただでさえ金融機関側は投資家側よりも多くの情報を持っており、情報の非対称性が存在します。そのことを前提に、投信の情報開示はフェアなものであってほしいと私は思います。また、フェアな情報開示をしようとしてくれる金融機関を評価したいと思います。





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Posted by水瀬ケンイチ