【速報】三菱UFJ国際投信ブロガーミーティング(2023年5月31日)レポート
水瀬ケンイチ

本日開催された三菱UFJ国際投信ブロガーミーティング(2023年5月31日)の速報レポートです。
1.『eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)』シリーズの基本理念について
・競合ファンドで様々な実質的にかかるコストを信託報酬から除いて表示するところが出てきた
・たとえば、ネットショッピングで価格を「送料込み」で表示するところと「送料除く」で表示するところがある。投資家にとって比べにくい
・eMAXIS Slimシリーズは、競合ファンドの実質運用コストがわかった段階で、「業界最低水準の運用コストを目指す」とはなんぞやを改めて考えたい
・購入時に投資家が確認できる目論見書に、総経費率を示すことで比較しやすいようにする
・投資家が安心できるようにeMAXIS Slimシリーズは7月から目論見書に総経費率を掲載する。その流れを業界全体で作っていきたい
・インデックスファンドのFMの評価はインデックスへの追随性の度合い(トラッキングエラー)とリターン水準を高められるかの2軸。有価証券のレンディングにも取り組んでいる
2.【解説】有価証券の貸付(レンディング)とは?
・賃貸料の上限55%(上限)を委託会社と受託会社で受け取る。その分リターンUP
・レンディングにはエクスクルーシブ方式とオンデマンド方式がある
・エクスクルーシブ方式:貸出先と予め貸出枠、貸出料率を決めて契約。貸借料率は相対的に低め
・オンデマンド方式:貸出銘柄、貸出料率は都度決定。貸借料率は相対的に高め
・レンディングに係るリスク:証券会社等貸出先の倒産等による「決済不履行リスク」がある
→当社にて取引祭の信用力や与信枠などのもモニタリングを実施します。加えて、レンディングの評価額に対して100%超の担保を受け入れ、保全を図る
・ファンドには日々の解約がある。貸出があるといったん買い戻す必要がある。貸し出す金額の上限をしっかり管理して影響が出ないようにしている。FMの腕の見せどころ
・エクスクルーシブ方式の方が金額としては大きい
3. Q&A
Q.他社ファンドの総経費率を見ていくとあるが、MUKAMの方が高かったらどうするのか?
A.総経費率表示の中にどういうコストがかかっているのかが運用報告書を見ればわかる。弊社であれば信託報酬でまかなっているものかどうかがわかる。内訳を見て仕分けしながら、弊社が高い部分があれば下げるが、今期だけの理由で低いものは別。ファンドの規模が小さい他社が実現できて、規模が大きい我々が実現できないことはないと考えている。コストの中身を見ながら「業界最低水準の運用コストを目指す」という理念は引き続き目指していく
Q.業界で統一できないのか?
A.投信協会で一定の定めがあるが、来年にかけて定められていくと思われる
Q.総経費率の桁数が下2桁までしか出ていないが、もっと開示できないか?
A.7月からの総経費率を見てほしいが、もう少し桁数を参考情報として表示することを検討している
Q.レンディングのデメリットを今一度説明してほしい
A.コーポレートアクションによって指数と連動できないと困るので、事前に確認しておく。貸し出す株数も常に確認している
Q.グループの証券会社だけ?
A.グループの証券会社以外にも、いろいろな証券会社とレンディングをしている
Q.レンディングしているのはマザーファンドかベビーファンドか?
A.ファミリーファンド方式の場合は、マザーファンドでレンディングするので間接的にメリットを享受している
Q.レンディングで大変だったことは?海外相手だったことか?
A.スキーム作りのなかで国内でもレンディングの要望があることが確認できている。コーポレートアクションがかなり多い。貸している券面が変わる。国内以上にしっかりコーポレートアクションをチェックして運営に支障が出ないようにしている。
Q.レンディングフィーはそんなに取れないのではないか?
A.何%も取れるものではない。信託報酬でマイナスになる数BP~数十BPをカバーする程度を目的としている。マーケットの状況次第でレンディング収益は変わるので平均的にどれくらいと言えるものではない。ボラティリティが高い環境の方が、ヘッジファンド等の貸出ニーズが増える傾向はある
Q.担保とは?
A.現金とか国債など、いざという時に価値が目減りしないものを担保としている
Q.インデックスファンドにもFMはいるのか?
A.インデックスファンドの運用は悪く言えば誰でもできるが、いかに連動するかを極めると、日々の入出金をこなしながら連動性を追求し続けるのは難しくも面白いところ
Q.インデックスファンドのFMのおもしろいところや信念は?(by 学生)
A.投資家にとって安心できる高品質なインデックスファンドを追求していくのが信念
Q.インデックスファンドの運用はシステム化はされているのか?
A.システム化されていうが、販売会社経由のお客様の注文がわかるのは15時に締められてから。売買はイブニング市場からになり、差分はトラッキングエラーになる。弊社では事前予測に基づいてトラッキングエラーを小さくするシステムもあるし、ファンドの規模が大きくなれば日々の流出入の影響は小さくなり運用上有利となる
Q.業界1位のファンドが米国株式、次が全世界株式。メインが外国資産に投資することに対していろいろ言われたりしないのか?
A.日本企業を応援したいという思いは日本人としてある。それと投資家が分散投資を考えた時に何が望ましいかは両方考える必要がある。年金運用をしていたことがあるが、国内外の4資産分散が王道だと金融教育を受けてきた。たとえばGPIFも25%ずつ国内外になっている。内外に分ける必要があるのかという議論は前からある。企業がグローバルに活躍する中で、ホームアセットバイアスが日本は強すぎるのではないかという議論があった。MSCI ACWIは考え方として、内外株が25%ずつというのは多すぎるのではないかという議論がGPIF内にもあるが、日本株を売りにいけない立場もある。個人投資家は先入観なくやった方がいい。応援したいのであれば個別にやればいい。政策的な意図はあまり個人の投資に持ち込まない方がいい。日本株が見直されて時価総額が増えれば、当然日本株が増える。
Q.先物取引のリターンへの影響は?
A.基本的に現物を100%持てれば理想だが、未収配当がある。3月末に権利はもらえるが入金は3ヶ月後の6月頃。その間の期間を先物で持たないとキャッシュ扱いになってしまう。先物で未収配当部分の連動性を高めている。
Q.要望。ETFの板が薄いので厚くしてほしい。iNAV開示してほしい。新商品を広げてほしいなど。
A.ETFは売買の状況は板によって違ってくる。板を厚くすることは非常に重要で取り組んでいる。iNAVは社内の状況を確認する。新商品は来年から始まる新しいNISAに向けていくつかの商品を社内で議論している。
※内容の正確性には注意を払っていますが、個人の耳と記憶で書き起こした速報であることを予めご了承ください。
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