分配金を出さないファンドの資産規模が拡大。大歓迎!
水瀬ケンイチ

運用を開始してから一度も分配金を支払ったことのないファンドの資産規模が拡大しているとのこと。大歓迎です!
上記記事では、上場投資信託(ETF)を除く追加型株式投信の純資産残高上位20本(2023年5月末時点)について、運用を開始してからこれまでに分配金を支払ったことがないファンドと分配金支払い実績のあるファンドを区分して表にしたところ、11本が分配金支払い実績なし、9本が分配金支払い実績ありでした。
日本では長らく、毎月分配型のファンドばかりに資金が集まる傾向がありましたが、だいぶ風向きが変わってきたようです。
冒頭に「運用を開始してから一度も分配金を支払ったことのないファンド」と書きました。もしかしたら、文字づらの印象で、運用会社が分配金を横取りしたり自社の懐に入れたりする「悪徳ファンド」のように見えるかたがいらっしゃるかもしれません。しかし、それは完全なる誤解です。
分配金を出さない場合、分配金見合いのリターンはファンド内で再投資され、基準価額の上昇に反映されます。つまり、分配金を払っていないファンドはその分リターンが高くなるのです。資産形成を目的とした投資であれば、分配金を出すファンドより、分配金を出さないファンドに投資した方が効率的です。
たとえば、私が毎月積み立てている「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は上記の表にもあるとおり、分配金支払い実績はありません。その分、順調に基準価額が上がっています。
かつては(もしかしたら今でも)、資産形成期を終えて資産取り崩し期に入った高齢者が、毎月分配型投信の分配金を生活費の足しとして歓迎する傾向がありました。そういう使い方も、まあなくはないとは思います。
しかし、生活費の足しにするのであれば、今はネット証券をはじめとして投信自動解約サービスがあります。取り崩しの金額や回数などを自分で指定できる上に、すべて自動化できます。毎月分配型投信の分配金による取り崩しよりもむしろ利便性が高いです。
分配金による出金は、運用会社の都合で有無や金額を勝手に変えられてしまうのに対して、自動解約サービスによる出金は、自分の都合に合わせて自由に出金することができるからです。
分配金を出さないファンドで効率的に資産形成を行い、将来は投信自動解約サービスで自分に合った金額や回数で自動的に取り崩すのが合理的です。
P.S
私が保有している海外ETFの「VT」は超・低コストで全世界の株式に投資できる優れものなのですが、年4回も分配金が出てしまい、そのたびに課税されたり再投資する手間がかかったり外国税額控除が必要になったりするので、その点がたまにきずなんですよね。
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分配金を出さないファンドの比率の推移は、以下のブログ記事でも取り上げています。
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