粗製乱造されてきた投信を金融機関側でも選別する動き?
水瀬ケンイチ

投資信託の運用会社が、2024年から始まる「新しいNISA」の非課税対象になるように、投信の約款を変更して絞り込む動きがあるようです。
上記記事によると、「新しいNISA」の成長投資枠の除外条件である①信託期間が20年未満、②毎月分配型、③ヘッジ目的以外のデリバティブ(金融派生商品)使用のうち、①は信託期間を無期限化などへ約款変更、②は「年1回分配コース」などをその投信に追加などで条件を事実上クリアできるので対応を進めているとのこと。
いくつかの運用会社の対応状況が取材コメントで掲載されていましたが、既存投信のすべてを対応しているわけではなく、選別して絞り込みを行っている模様。
意外だったのは、「新しいNISA」の対象外となった投信はいずれ純資産が減り償還されていく公算が大きいことに対して、「それもやむを得ない」とする運用会社の声が目立つこと。
日本では昔から金融機関の手数料稼ぎの道具として粗製乱造されてきた投信が、金融機関側でも選別されるようになるとは。時代の変化を感じます。記事にあるように、「新しいNISA」の厳しい条件は「運用会社と個人の双方に『何が本当に長期運用に値する投信か』の再考を迫る」のでしょう。
分散投資のツールであるはずの日本の投信は約6000本もあり、上場企業数よりも多いという笑えない状況になってしまっています。「新しいNISA」のスタートは、過去の遺物をいったんリセットするよい機会だと私は思います。
▼10年以上前の記事ですが、日本の投信の「黒歴史」をまとめたものです。ついに潮目が変わるのか?
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