【先進国株式】低コストインデックスファンド徹底比較(23年6月末)
水瀬ケンイチ
「低コストインデックスファンド徹底比較」シリーズ記事として、先進国株式クラスの主要なインデックスファンドについて、2023年6月末で比較しました。
※当シリーズ記事の説明書きとして、まずは『新シリーズ!「低コストインデックスファンド徹底比較」開始。まずは説明書き』をぜひご覧ください。
それではどうぞ。

先進国株式クラスの比較対象インデックスは、「MSCI コクサイ・インデックス」。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどの先進国企業の株式(日本除く)に分散投資するインデックスです。
世界の株式時価総額における先進国株式クラスの比率は、実に8割を占めます。その先進国株式クラスの中でアメリカが7割を占めます。まさに世界の株式市場の中心です。残り3割がヨーロッパなどです。
株式投資の中心たる先進国株式クラスのインデックスファンドは、保有期間中ずっとかかる信託報酬が年率 0.1% を下回る水準まで下がっています。海外ETFとほぼ遜色ないコスト水準といって良いでしょう。それでいて、100円から投資できたり、分配金再投資が自動でできたり、自動積み立てができたりといった(海外ETFにはない)「投資信託の良さ」を備えています。ありがたや、ありがたや。
比較の結果、今回は「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」(運用会社:三菱UFJ国際投信)が、信託報酬年率 0.09889%、実質コスト年率 0.12%、5年リターン年率 +13.69%と相対的に高評価でした。
eMAXIS Slimシリーズは2023年5月11日に信託報酬の引き下げを行いました。調査時点(2023年6月末)の純資産残高4989億円で、新たなしきい値である5000億円、1兆円以上になった場合に段階的に発動する「受益者還元型信託報酬」の対象ゾーンから出る形になってしまいました。ただ、運用コスト自体は下がっており、5000億円はすぐに達成しそうです。今後も純資産残高の拡大とともに信託報酬の更なる低下が期待されます。
「たわらノーロード 先進国株式」と「ニッセイ外国株式インデックスファンド」も信託報酬を引き下げて年率 0.09889% としてきており、「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」と並んで三つ巴のデッドヒートです。2024年から始まる新しいNISA(少額投資非課税制度)を前に、運用コスト競争は激しさを増しています。
「iFree 外国株式インデックス」と「iシェアーズ 先進国株式インデックス」には、「インデックスとの差異」に大きな異常値が出ているので評価を下げています。iシェアーズは元々ベンチマークからブレる傾向があるのと、iFreeは直近にベンチマークを配当除くインデックスから配当込みインデックスに変更した影響がまだ色濃く残っているようです。今後はファンドの目論見書の記載された運用方針(ベンチマークに連動する等)にのっとった安定運用に期待したいと思います。
表下部に、原資産である企業の株式から配当が出てくるにもかかわらずベンチマークに「配当除く」インデックスが設定されているインデックスファンドがまとめてあります。これらはインデックスとの差異が大きく、インデックスとの連動を目指すインデックスファンドとして馴染まないため評価を下げています。
「My SMT グローバル株式インデックス」「SMT グローバル株式インデックス・オープン」は、2023年半ば頃を目途にベンチマークを「配当込み」インデックスに変更すると三井住友トラストアセットマネジメントが発表しています。やはり、株式クラスのインデックスファンドは配当込みインデックス連動の方が評価上フェアだと思います。
「PayPay投資信託インデックス 先進国株式」(PayPayアセットマネジメント)が新規設定されました。信託報酬が年0.1%を切る水準に挑戦してきています。第1期の運用報告書が出るまでは「参考」扱いでウォッチしていきたいと思います。
なお、「野村スリーゼロ先進国株式」(野村アセットマネジメント)の信託報酬が年0%ですが、これは期間限定であり、将来(2031年から)信託報酬が値上げされる設計になっているため、バイ&ホールドを目指すインデックス投資の対象ファンドとしては「参考」扱いとしています。古くから積み立て投資をやっている投信ブロガーとして、含み益が積み上がった後で高コストファンドを売るに売れなくなるつらさは身にしみてわかっているつもりです。
いろいろありますが結論。
先進国株式クラスの主要なインデックスファンドについて、2023年6月末で比較した結果、「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」が相対的に高評価でした。
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<ご参考2>
本ブログ記事は、私が過去に執筆・監修した書籍に掲載したおすすめインデックスファンド情報のアップデート版という意味もあります。今後も定期的に継続していく所存です。
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