真夏の頂上決戦!「Tracers」シリーズが諸費用の上限年率を0.03%に引き下げ
水瀬ケンイチ

日興アセットマネジメントは、「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」について「諸費用」の上限年率を0.1%から0.03%に引き下げると発表しました。
日興アセットマネジメント プレスリリース
2023/08/03 「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」・「Tracers グローバル3分法(おとなのバランス)」 「諸費用」の上限年率を引き下げ
2024年から始まる新しいNISA制度を前に、全世界株式インデックスファンドの運用コスト競争が熾烈になっています。
長らく信託報酬最安値をキープしていた「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の信託報酬年0.11330%に対して、「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」「はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー) 」は信託報酬年0.05775%とさらに半額を打ち出しました。
ただ、「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」については、他社のファンドでは通常信託報酬のなかに含む費用(指数使用料など)を「その他費用」に外出しして、信託報酬を安く見せているのではないかという指摘もありました。
これは決算後の第1期運用報告書が出てはじめて開示される「総経費率」(信託報酬とその他費用を合算したもの)で評価するしかないなという流れだったのですが、「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」の目論見書で定められていた「その他費用」のうち「諸費用」(目論見書の作成費用など)の上限年率を0.1%から0.03%に下げると日興アセットが発表しました。
事前にはわからないから目論見書ではなく、決算後の運用報告書にしか記載されない費用なんじゃないの?という疑問は残るものの、諸費用に上限を定めてその範囲内に抑えますよという運用会社の自主的約束(気合い?)かなと認識しました。
ただ、事前にはわからない諸費用に上限を設けること、さらにその上限を事前に引き下げることが、現実的に有効な営みなのか、第1期運用報告書でお手並み拝見ということになりそうです。この点において、競合他社が追随するのかにも注目です。
それにしても、全世界株式インデックスファンドにおいては、0.0X%の運用コストをめぐり、一部とはいえ事前にはわからないはずの諸費用を安く抑える約束をしてでも運用コスト最安値を取りにいくという、まさに「頂上決戦」の様相を呈しています。
今年の夏はめちゃくちゃ暑いですが、インデックスファンドの運用コスト競争も激アツですね。投資家のためになる競争は大歓迎です。
運用各社の動きを引き続きウォッチしつつ、定期的にインデックスファンドの運用コスト、パフォーマンス等の比較を継続したいと思います。
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