【マスコミ調査】公的年金の2023年度第1四半期が絶好調!なのに報道レベルは低下…

※本ブログでは記事中にPRを含む場合があります

victoria-kubiaki-yeFJNtA3604-unsplash_20230806.jpg


公的年金の積立準備金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は2023年8月4日に、2023年度第1四半期運用実績を公開しました。


◆2023年度第1四半期(2023年4月~6月)
収益率: +9.49%
収益額: +19.0兆円
運用資産額: 219.2兆円(2023年6月末)

◆市場運用開始以降(2001年度~2023年度第1四半期)
収益率: +3.97%(年率)
収益額: +127.4兆円(累積)

簡単にいえば、2023年度第1四半期はまれに見る「絶好調」です。3ヶ月で収益率は+9.49%、収益額は+19.0兆円という結果でした。累積収益額は+127.4兆円、収益率も+3.97%(年率)とこちらも「絶好調」で推移しているというのが全体像です。(なお、GPIFの運用目標は中期で年率賃金上昇率+1.7%)

収益がマイナス時には張り切って「年金叩き」を行うマスコミ各社、収益が堅調だった今期の対応はどうでしょうか。調べてみました。

Googleニュースで各メディアのネット報道内容をチェックします。チェック項目は過去の調査と同様、(1)収益額、(2)収益率、(3)運用開始からの累計実績、とします。

公的年金の運用実績(2023年度第1四半期)に対するマスコミ各社のネット報道状況

 
  (1)収益額 (2)収益率 (3)累計実績 備考
日本経済新聞 × 
ロイター ×  
ブルームバーグ ×  
朝日新聞 ×
毎日新聞 報道なし
読売新聞 ○ ○
産経新聞 - - 報道なし
共同通信 × × 金額のみの不適切報道
時事通信  ×
NHK  
日本テレビ - - - 報道なし
TBS - - - 報道なし
フジテレビ 報道なし
テレビ朝日 ○ ○ ×
テレビ東京 報道なし
(Google ニュースより梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー作成。2023/08/06 11:00時点)

まず、今回は第1四半期実績というもあってか、前回の年度実績の時よりも全体的に報道レベルが大幅に低下しています。しかし、年金運用の収益が絶好調という喜ばしい状況にマスコミ各社は興味ないのでしょうか?

テレビディアは報道レベルが低下しています。

前回報道があった日本テレビ、TBSの報道自体がなくなり、もともと報道なしのフジテレビ、テレビ東京と加えると、今回は6社中4社で報道自体がありませんでした。

NHKだけは引き続き(1)収益額、(2)収益率、(3)累計実績がフル項目でわかりやすい報道内容だったのと、また、テレビ朝日が(1)収益額、(2)収益率の基本事項を押さえた報道内容に改善していたのが救いです。

次に、新聞メディアの報道レベルは玉石混交です。

前回報道があった毎日新聞と産経新聞は、今回報道自体がなくなり、前回(1)収益額、(2)収益率、(3)累計実績のフル項目を満たしていた朝日新聞は(1)収益額、(2)収益率の基本事項のみの報道にグレードダウンしました。一方で、前回報道なしだった読売新聞が今回(1)収益額、(2)収益率、(3)累計実績がフル項目でわかりやすい報道内容と大幅改善しました。

次に、通信社も報道レベルが低下しています。特に共同通信が酷い。

前回、共同通信は(1)収益額、(2)収益率、(3)累計実績のフル項目を満たした報道だったのですが、今回は(1)収益額のみのお粗末報道でした。

(1)収益額しか表記しないのは、過去に収益率がわずか年率5%のマイナスであったにもかかわらず、各メディアが「年金で8兆円の巨額損失!」と損益金額の大きさのみを前面に出してセンセーショナルに報道し、野党政治家を巻き込んでの大騒ぎをした時と構図としては同じです。

GPIFの運用総額は219兆円と超巨額です。(2)収益率、もしくはせめて運用総額を記載しないと、その(1)収益額が、驚くべき大事レベルのことなのかふつうのことなのか、読者は評価することができません。べつに長文でなくてもかまわないので、読者が状況を理解できる情報の要素を押さえた報道をしてほしいと思います。

通信社は地方新聞などに記事を配信しているので、不適切報道をしてしまうとそれが他のメディアに拡大再生産されてしまいます。しっかりしてほしいと思います。

全メディアを通して、(1)収益額、(2)収益率、(3)累計実績のフル項目がすべて表記されていたのが、NHKと読売新聞のみでした。いくら儲かった(損した)のか? それは全体に対してどの程度の影響なのか? 過去からの累計分を全部ひっくるめるとどうなのか? という年金運用実績の全体像が評価できる、読者にとってわかりやすい報道になっていました。

公的年金の年金積立金の運用実績というひとつの切り口ではありますが、日頃から国民に正しい情報を届けようとしているのか、ネガティブ報道だけを大々的にやろうとしているのか、メディアの報道スタンスを垣間見ることができます。公的年金に損失が出た時だけ鬼の首を取ったように騒ぎ立てて儲かっている時は報道しないメディアなど論外ですし、報道する際は、読者が状況を理解して正しく評価できる情報要素を押さえた報道をしてほしいと思います。

公的年金制度に関しては、人口増加を前提とした制度設計であることや、未納問題、過去には消えた年金問題、マクロ経済スライドの未実施等、多くの課題を抱えていることは事実です。

しかし一方で、年金積立金の運用については真面目に行われており、情報公開も進んでいるというのが、運用をウォッチしている私の認識です。これらの公開情報は、世界最大級の機関投資家の情報として、個人投資家の資産運用にも大いに参考になるものです。

年金は国民の最大級の関心事のひとつです。マスコミ各社は煽る方向ばかりに張り切るのではなく、良いことも悪いことも含め、きちんと「事実」を伝えてほしいと思います。

末筆になりますが、ブログ記事執筆にあたり、フォロワーさんのtea brakeさんに情報提供でご協力をいただきました。ありがとうございました。


P.S
本文にも書いたとおり、ネットで公開されている範囲での情報収集なので、「ニュースサイトには掲載していないが、新聞本紙では掲載している」「○時○分のTVニュースの放送で触れた」等の事情はあるかもしれません。だからといってメディア名を冠したネットニュースには非掲載でよいという理由にはなりませんが。


関連記事