疲れたリーマンが考える株式本来の性質(その2) 株式は永遠に自ら成長しようとする

水瀬ケンイチ

前回の記事、「疲れたリーマンが考える株式本来の性質(その1) 何もしていないのに儲かるのはなぜ?」の続きです。

なぜ、インデックス投資は、何もしていないのに儲かるんだろうか?
その問いに答えるには、まずインデックス投資の中心的資産クラスになる「株式」について、知ることが必要になりそうです。

しばしば、「株式とは、企業の所有権である」と説明されます。
あなたが、ある企業の株式を100%持っていれば、その企業の資産や生み出される利益は、あなたのものというわけです。
ということは、株式とは企業そのもの、と考えてよさそうです。
株式の性質を知るには、企業の性質を考えればよいと思います。

企業の性質のひとつ目は、永遠に存続しようとするものであるということだと思います。

企業は、いったん出来てしまえば、存在し続けることが求められます。
流行り廃りで、フレキシブルに作ったり潰したりできるものではありません。
少なくとも上場企業では、たとえ主力事業を変えてでも、資本構成を変えてでも、場合によっては従業員を解雇してでも、企業活動自体は継続し続ける社会的責任を負っています。

企業の性質のふたつ目は、自ら成長しようとするものであるということだと思います。

「なんだ、当たり前のことじゃないか」と思われるかもしれませんが、僕はこれが最も重要な、企業の性質だと思います。
他の投資対象、例えば、土地、債券、貴金属、農作物、石油などは、自ら変化することはありません。
すべての投資対象のなかで、企業だけが、自ら変化し得るのです。

そして、一般的には、企業は良くなる方向性を持って、変化していると思うのです。

経営者は、去年よりも今年、今年よりも来年と、更に利益を伸ばしていくことを考えるでしょう。
僕たち社員だって、できれば、お客さんや上司に怒られたくはないので、ちゃんと仕事をしなければいけないと思うでしょうし、どうせやるなら、よりうまく仕事を回していけるよう改善していきたいと考えるのが普通でしょう。
また、出世するためには、企業に利益をもたらす成果を出さなくてはいけないというインセンティブも働きます。
お客さんや取引先だって、その企業に対して、「もっと安く、早く、簡単に、質もよく!」と、常に更なる改善を要求してきます。
株主なんか、一番ストレートです。
その企業に対して、「成長しろ!利益を出せ!」と直接要求をしてきます。

こうした内部的・外部的要因から、企業は自ら成長しようとするのだと思います。

もちろん、成長しようとしてもうまくいかず、衰退してしまう企業もあるでしょう。
しかし、衰退企業にあってもなお、何とか成長しようとする方向性は、変わりません。
衰退しようという方向性で動く企業などないのであります。

企業の本質的性質をまとめると、
(1) 企業は、永遠に存続しようとする
(2) 企業は、自ら成長しようとする
ということだと思います。

前述したように、株式とは企業そのものなので、言い換えると、
(1) 株式は、永遠に存続しようとする
(2) 株式は、自ら成長しようとする
ということになります。

株式が、「永遠に」「自ら成長しようとするもの」だとすれば、僕たちが、株式をただ持って何もしないでいるだけで、儲かることがあっても、おかしくはなさそうです。

自ら成長することのない貴金属や石油では、こうはいきません。
あるのは需給による騰落だけですから、僕たちが儲けるためには、安い時に買って高い時に売るという行動を、取り続けることが必要になってくるのでしょう。
そう考えると、株式というのは、すべての投資対象の中で、バイ&ホールドに最も適した投資対象なのかもしれません。

(次回に続く)
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Posted by水瀬ケンイチ